「製作委員会」参入のハードルを下げる。日立システムズ「ロイヤリティ契約管理支援システム」がSaaS版で挑む、中小スタジオのロイヤリティ管理DX

セル一つの誤りで数字が合わない、タイトルが増えるほどシートは膨らむ——製作委員会の収益分配業務は、いま多くの企業のボトルネックになっている。日立システムズはこの領域を自動化する「ロイヤリティ契約管理支援システム」にSaaS版を追加。サーバー不要、最短1カ月で導入可能な新版の狙いを開発・営業担当に聞いた。

テクノロジー エンタメDX
PR
左から:営業統括本部 産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ担当 松本琴里氏、同営業部  第一グループ主任 須貝玲哉氏、産業・流通事業グループ 産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第二システム部 第一グループ技師 八木彩人氏
左から:営業統括本部 産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ担当 松本琴里氏、同営業部 第一グループ主任 須貝玲哉氏、産業・流通事業グループ 産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第二システム部 第一グループ技師 八木彩人氏
  • 左から:営業統括本部 産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ担当 松本琴里氏、同営業部  第一グループ主任 須貝玲哉氏、産業・流通事業グループ 産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第二システム部 第一グループ技師 八木彩人氏
  • 左から:営業統括本部 産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ担当 松本琴里氏、同営業部  第一グループ主任 須貝玲哉氏、産業・流通事業グループ 産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第二システム部 第一グループ技師 八木彩人氏
  • 「製作委員会」参入のハードルを下げる。日立システムズ「ロイヤリティ契約管理支援システム」がSaaS版で挑む、中小スタジオのロイヤリティ管理DX
  • 「製作委員会」参入のハードルを下げる。日立システムズ「ロイヤリティ契約管理支援システム」がSaaS版で挑む、中小スタジオのロイヤリティ管理DX
  • 「製作委員会」参入のハードルを下げる。日立システムズ「ロイヤリティ契約管理支援システム」がSaaS版で挑む、中小スタジオのロイヤリティ管理DX
  • 製作委員会では、多くの関連企業との取引が発生する。

アニメや映画をはじめとする日本のコンテンツ産業は、今や国の基幹産業と位置づけられ、海外市場でも存在感を高めている。その成長を支えてきたのが、複数の企業が共同で出資する日本独自の「製作委員会」方式だ。

しかし、この仕組みは同時に大きな負荷も生んでいる。出資者、原作者、制作会社、そして二次利用の権利を持つ窓口会社——一つの作品をめぐって関わる取引先は多岐にわたり、劇場収入、配信、マーチャンダイジングなど収益の入口が増えるほど、分配計算は幾何級数的に複雑化していく。表計算ソフトによる管理では、セルの誤り一つで数字が合わなくなり、タイトルが増えるたびにシートは膨らみ、作品数を増やしたくても、管理業務が追いつかない。

こうした構造的なボトルネックに対して日立システムズが提供してきたのが「ロイヤリティ契約管理支援システム」だ。契約データに分配率を登録しておけば、実績を受け取って計算ボタンを押すだけで分配額が算出され、報告書の作成から各権利者への送信までを一気通貫で完結できる。導入企業では作業時間を50%、さらには75%削減した事例もあるという。

ただ、その導入には初期費用とサーバー環境の準備というハードルがつきまとっていた。バックオフィス向けのツールは、中小企業や新規参入企業にとっては投資判断が難しい。そこで同社が新たに用意したのが、SaaS版である。自社サーバーを持つ必要がなく導入費用を抑えられ、ブラウザーさえあればどこからでもアクセスできる。

受託制作にとどまらず、自らIPを運用する道を模索するアニメスタジオも増えている。その入口に立つ企業にとって、SaaS版は何をもたらすのか。開発・提供に携わる同社システム部の八木彩人氏、営業部の須貝玲哉氏と松本琴里氏に話を伺った。

左から:営業統括本部 産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ担当 松本琴里氏、同営業部 第一グループ主任 須貝玲哉氏、産業・流通事業グループ 産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第二システム部 第一グループ技師 八木彩人氏
初期費用を抑えて始めるSaaS版
ロイヤリティ契約管理支援システム

製作委員会業務のDX「ロイヤリティ契約管理支援システム」とは

――「ロイヤリティ契約管理支援システム」の基本機能について、まずはご説明願えますか。

八木:「ロイヤリティ契約管理支援システム」は、アニメや映画などの製作委員会に参加される企業に向けたサービスです。製作委員会方式では、出資社、原作者、著作権者に制作会社、さらに二次利用などの権利と窓口を持つ会社など、複数の企業と取り引きすることになります。
映画館や配信での利益、マーチャンダイジングなど、一つの作品が複数の収入源の売り上げデータを一つの契約データとしてまとめることができる仕組みになっています。契約データの中にそれぞれの会社の利率を設定しておくと、自動的に分配料を計算してくれ、出来上がった帳簿を各権利者に送信するまでの一連の流れをシステム上で完結させることができます。

――一次利用だけでなく、二次利用、三次利用と売り上げが発生するたびに自動計算してくれるのですか。

八木:はい。あらかじめ分配率を設定しておけば、あとは各サイクルで実績を受け取って計算ボタンを押すだけですから、業務をシンプルに、かつ圧縮できるものとなっております。報告書もあらかじめ設定したフォーマットに沿って、自動で作成できます。

――製作委員会の売り上げの分配は、一般的な表計算ソフトで行っている企業がまだ多いと聞きます。

八木:はい。表計算ソフトを使用すると、セルを一つ間違えただけで計算が合わなくなりますし、作品を製作し続けてタイトルが増えるたびにシートが増え、どんどん重たくなり、計算だけで半日かかってしまうこともあります。作品数が増えれば、それだけ取引先と分配計算の量が増えていきますので、どんどん仕事量が増加しますから、人員の増加が必要になります。しかし、コンテンツ業界も権利業務を担当できる人材の取り合いになっており、人員不足で業務拡大できないというケースもあると耳にしています。
当社のシステムはそうした業務のボトルネックの解消を図るものです。実際に、ある企業では作業時間を50%、さらには75%も短縮できたというお客さまもいらっしゃいます。

製作委員会では、多くの関連企業との取引が発生する。

中小企業や新規参入企業にも導入しやすいSaaS版

――「ロイヤリティ契約管理支援システム」のSaaS版を開発・リリースすることになった経緯をお聞かせください。

須貝:コンテンツ業界全体でシステム化への意識は高くなっていますが、どうしても導入費用がネックとなることが多いです。
複数人で管理するとなれば、サーバーを準備するなど、お客さま側にも導入のためのコストやリソースを求めなくてはならないため、二の足を踏まれる方もいます。
そこで当社は、より手軽に導入いただける環境を用意すべきだと判断し、今回SaaS版をリリースすることになりました。

――新たなシステム導入のための費用は、大企業以上に中小企業にとって難しい課題ですね。

松本:そうですね。「ロイヤリティ契約管理支援システム」のようなバックオフィス向けのツールは、直接利益を生むものではありません。やはり、中小企業の場合、そうした部門に多くのリソースを割くことができず、導入費用もかけられないことが多いと思います。SaaS版は、まさにそうしたお客さまにも当社のシステムをご利用しやすくするためのものです。

須貝:中小企業、あるいはアニメ・映像のIPビジネスに参入を検討されている企業は、これから業務フローを構築されるというところも多いかと思います。新規事業に大きな導入費用をかけたくないという企業にもSaaS版は手軽に導入しやすいものとなっております。とりわけ、これから参入される企業は、まだ製作委員会の業務フローをお持ちではない場合も多いですから、当社のシステムのフローに沿っていただければ、スムーズに業務をスタートできると自負しております。

八木:その話に付け加えるとすれば、PoC(概念実証)目的でもSaaS版をお試しいただくのもいいと思います。サーバーインストール型も、トライアルとしてノートPCごと貸し出すサービスを提供しておりますが、機能に制限がありますし一台のみの提供となります。部署間をまたいで試してみたいという方のニーズにはなかなか応えにくいものでしたが、SaaS版であれば、気軽にブラウザーからアクセス可能になりますので、複数人で試してみることが可能となります。

SaaS版でも製作委員会業務の大半をカバー

――その他、SaaS版にはどんなメリットがありますか。

八木:まず自社でサーバーを用意する必要がないということですね。さまざまなお客さまにご提案する中で、導入したくてもサーバーの管理・維持をどうするのかという点がネックとなることがあります。昨今はセキュリティ対策も神経質にならざるをえませんが、SaaS版なら自社にサーバーを置く必要がありません。

須貝:従来のサーバーインストール型でもネットワーク構築すれば、そのネットワーク内であればどのPCからでもアクセス可能です。一方、SaaS版であれば、アクセスにおけるセキュリティに関して考慮の必要がありますが、ブラウザーが開ければどこからでもアクセス可能となるのもメリットです。

――サーバーインストール型と使い勝手はほぼ同一と考えてよいのでしょうか。

松本:そうですね。製作委員会の分配の計算や案件登録、実績管理など標準機能はすべて搭載しております。強いて言えば、サーバーインストール型は、企業のワークフローに応じて細かいカスタマイズが可能ですが、SaaS版はパラメーターの調整のみで、カスタマイズを想定していない点に違いがあります。

八木:元々、当社のシステムは汎用性の高い作りになっています。製作委員会方式は、ある程度同じ形式にのっとった仕組みになっていますから、標準機能でも十分、お客さまのニーズを満たすことができると自負しています。

須貝:また、サーバーインストール型は契約から実際の環境構築までに、ある程度のお時間を要しますが、SaaS版は契約から導入までの期間がより短いのもメリットです。従来のサーバーインストール型は標準導入でも3カ月程度のお時間をいただいておりましたが、SaaS版であれば最短1カ月で導入が可能です。

松本:操作も、契約をして実績の報告を打ち込んで計算してレポートに出すという一本道で、迷いなくお使いいただける仕様になっていますし、当社も常にサポートできる体制を整えております。

須貝:当社のSEが問い合わせに対応できるようにサポート体制を整えております。システムの開発にも関わった人間も含まれるので、操作面での不明点なども知識を持った人間がお答えするようにしております。

八木:メールでの回答が基本となりますが、状況に応じて臨機応変にお電話、もしくは対面でのサポートも必要であれば調整が可能です。

ロイヤリティ管理DXを、もっと多くの企業へ

――制作会社自体が製作委員会に参画するケースも増えていますが、その多くは中小企業です。そうした会社にもSaaS版は有効ですね。

須貝:そうですね。アニメスタジオが権利窓口業務に進出するケースも増えておりますが、製作委員会方式は複雑な計算・運用によって成り立っているため、その複雑さ自体が参入障壁になっています。当社のシステムはそのハードルを下げるものと言えます。
業界全体に、スタジオも受託だけでなくIPの運用が利益を生み出すために必要という認識が広がっていますから、権利の運用に進出したい方にとって手軽に導入できるシステムになっております。

――アニメ制作会社では、権利業務を含むバックオフィスの人材が不足している会社は多いと思います。そういうスタジオこそ、こうしたシステムによる下支えが必要かもしれません。

須貝:おっしゃるとおりです。バックオフィス担当でない方もその業務をやらないといけなくなっていることもあるようです。そうした企業こそ、システムの助けが必要だと思います。

――「ロイヤリティ契約管理支援システム」のSaaS版の提供を通じて、日本の映像産業にどのように貢献したいと考えていますか。

須貝:今後、日本ではあらゆる業界で人手不足の問題が顕在化することになり、映像産業も例外ではないでしょう。そうした中で事業を発展・成長させていくためには、非効率な作業を残していると、成長に必要なリソースを十分に割けなくなる恐れがあります。
私たちのチームはアニメや邦画など、日本のコンテンツが大好きなメンバーで構成されており、この業界の発展を心から願っています。ですから、クリエイティブではない場面での非効率を少しでも減らすことで業界に貢献していきたい。現場を疲弊させないためにも、そのボトルネックを取り除くというのが、われわれの目標であり願いです。

日立システムズ「ロイヤリティ契約管理支援システム」SaaS版のご相談はこちら
《杉本穂高》

関連タグ

杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

編集部おすすめの記事