9月9日(月)、総理官邸で第1回コンテンツ産業官民協議会・第1回映画戦略企画委員会が開かれた。
本会議には、岸田総理の他、文化庁や経産相、公正取引委員会の関係省庁、映画監督の是枝裕和氏や庵野秀明氏、俳優の大沢たかお氏のようなクリエイターなどコンテンツ産業の重役たちが出席した。
この2つの会議は、今年6月に開催された「第28回新しい資本主義実現会議」で設置されることが決定されたものだ。これまで各省庁間でバラバラに展開されていた、コンテンツ支援を一元化し、クリエイターと事業者双方を強力にバックアップする目的で組織されたもので、これまでコンテンツ業界が長年求めてきた、一元的な支援組織がようやく第一歩を踏み出した、記念すべき会議となった。
省庁間でバラバラだった支援機能を一元化
コンテンツ産業とクリエイター支援の強化は、岸田政権が始めた「新しい資本主義実現会議」のもと議論され続けてきたが、今年になって動きが活発化している。4月には「官民連携によるコンテンツ産業活性化戦略」というテーマのもと、是枝裕和監督と山崎貴監督が同会議に出席し、提言したことが大きく報じられた。この時には、コンテンツ支援は何よりも人への支援であるということが確認された。
続く、6月の会議では4月の人材支援の重要性という議論を受け、それを具体的に実行するために、政府の司令塔機能を一元化する組織として、「コンテンツ産業官民協議会」の設置が発表された。
同協議会は、内閣府・文部科学省(文化庁)・経済産業省・総務省・外務省・公正取引委員会などの関係省庁とコンテンツ関係者(クリエイター・関係業界など)から構成される。主な任務として、クリエイターが安心して持続的に働ける環境整備と海外展開や情報発信、産業全体の支援制度のあり方を議論するものだ。
6月の会議資料では、縦割り行政の中で、上手く機能していなかった各省庁の支援体制を見直す文言が含まれていた。
「具体的には、これまで両省庁で要求してきたクリエイター支援・事業者支援双方を束ね、『クリエイター支援基金』に統合する。クリエイター支援の強化を念頭に、教育、人材育成、労働環境整備、製作支援、国際展開支援、国内流通機能強化、国際プレゼンス向上等のカテゴリ毎に実行するよう、体制を刷新する。」新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版案(P.24)
その第1回の会議が予定通り9月9日に開催された。岸田総理は、改めて、クリエイターとコンテンツ産業に対する政府の司令塔機能を明確にし、体制を強化するための協議会であることを強調。そして、クリエイターと事業者双方を支援するために「クリエイター支援基金を設立し、抜本的に支援政策を強化していく」ことを発表した。(令和6年9月9日 コンテンツ産業官民協議会・映画戦略企画委員会合同開催 | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ より)
国が「映画は誇るべき財産」と認めた
そして、同時に開催された「映画戦略企画委員会」は、「コンテンツ産業官民協議会」の下部組織として、映画支援に特化した組織として置かれることが6月に決定されたものだ。