2026年5月15日、カンヌ国際映画祭マーケット部門「マルシェ・ドゥ・フィルム」のパレ・ステージで、「The Incentives and Production Services for Filming in Japan」と題したパネルディスカッションが開かれた。主催はカントリー・オブ・オナー 2026 実行委員会、経済産業省(METI)、日本貿易振興機構(JETRO)の三者。
モデレーターはエンターテインメント社会学者でMETIアドバイザーも兼ねる中山淳雄氏。登壇者は経済産業省 文化創造産業課長の梶直弘氏、群馬県知事の山本一太氏、そして角川大映スタジオ、東宝スタジオ/TOHO Tombo Pictures、東映京都撮影所、松竹撮影所の責任者たち。国の制度、地域の誘致策、撮影所の現場という三層が地続きに語られる場は国内でも例が少なく、貴重なセッションとなった。
経産省が語る日本ロケの5つの理由
口火を切った経産省の梶氏は、日本でロケを行う理由を5つのキーワードに整理した。「Charming(魅力)、Cheap(割安)、Incentive(インセンティブ)、Permit(許認可)、Infrastructure(産業基盤)」である。

魅力の根拠としては、フランスの調査会社Ipsosの National Brand Index で日本が初めて1位に入ったこと、Soft Power Index でも4位につけていることを挙げた。「日本でロケをすれば、日本のファンというフォロワーがそのまま観客になる」と梶氏は言う。
「Cheap」については、「経産省の人間としては悲しいが、皆さんには嬉しい話」と苦笑しながら切り出した。OECD加盟38カ国中、日本の物価水準は33位。G7では最安で、米国比では4割以上の割引で撮影できる計算になるという。

50%リベート、上限15億円、期間2年へ拡張
刷新されたインセンティブ制度は「High, Larger, Longer」の3軸で説明された。リベート率は50%。上限額は昨年度の10億円(660万米ドル)から、今年度より15億円(1,000万米ドル)に引き上げられた。撮影期間も単年度から2年間へと延びている。「桜の季節を含め、日本の四季すべてが撮影に使える」。

制度の持続性についても踏み込んだ。高市首相が主導する成長戦略会議でコンテンツ産業は戦略セクターに位置づけられており、官民の長期投資ロードマップを策定中だという。「少なくとも5年以上、海外向けに加え国内向けインセンティブも続ける」と梶氏は明言した。
許認可面では、昨年から省庁間連携の枠組みが整い、警察庁(道路使用)、消防庁(火気使用)などとプロジェクト情報を共有しつつ、実装は地方自治体が担う体制ができていると紹介された。










