NHK放送文化研究所は2026年3月、『メディアは社会の多様性を反映しているか 調査報告(2024年度)』を発表した。テレビ番組に出演・登場する人物の多様性について、2021年度から継続して実施されている本調査において、最新の2024年度データが示したのは、改善の兆しではなく「傾向の固定化」というシビアな現実であった。
調査結果によると、テレビ番組全般における女性の割合はおよそ4割、夜のニュース報道番組ではおよそ3割、過去3回の調査とほぼ変わらない数値を記録している。さらに深刻なのは、番組全般、ニュースともに「中高年の男性と、より若い女性」という歪な人口構成が、依然としてテレビの中の「当たり前の景色」として定着している点だ。
番組全般に見る「消費される若さ」とジェンダーバイアス
2024年度の調査結果によると、番組全般のメタデータ分析において、女性出演者の割合は41.2%にとどまった。これは人口推計における女性比率51.3%と比較して約10ポイント低い。
より深刻なのは、その内訳における年齢構成の歪みだ。女性出演者は20代をピークに、30代以降は年齢が上がるごとに減少の一途をたどる。対照的に、男性出演者は年齢とともに増加し、40代でピークを迎えた後も50代、60代と一定の存在感を保ち続ける。この結果、40代では男性が女性の2倍以上、50・60代では約3倍、70代に至っては5倍以上という圧倒的な差が生じている。
この構造的バイアスは、出演ジャンルや職業においても顕著だ。最も出演者数が多い「バラエティー」番組では、男性が女性の1.7倍登場しているという。職業分野別に見ると、「お笑い」における男性比率は85.1%に達し、男性が女性の5.7倍と極端に偏っている。
一方で、女性が男性を上回る職業は「タレント・モデル(70.6%)」と「アナウンサー・キャスター・リポーター(55.4%)」の2分野に限られる。これは、女性が専門性や技術を持つ「職能」としてよりも、画面を彩る「容姿」や「華」としての役割を期待され、起用されている傾向を示唆している。
特に報道・情報番組の顔となる「アナウンサー・キャスター・リポーター」における男女差は、日本のテレビ業界が抱えるエイジズム(年齢差別)の縮図とも言える。同職において、女性は20代・30代が圧倒的多数を占め、40代以降は激減する。一方、男性は20代では女性の4分の1以下に過ぎないが、40代で逆転し、60代以降も活躍している。
ニュースや情報の伝え手として、女性には「若さとフレッシュさ」が、男性には「ベテランとしての信頼感や威厳」が求められるというダブルスタンダードが払拭されていないと言える。

