2026年4月22日、公正取引委員会(以下 公取委)は、3月17日に開催された第232回独占禁止懇話会の議事概要を公表した。独占禁止懇話会は、各界の有識者と競争政策について意見交換を行う場として定期的に開催されている。
今回の懇話会では、2025年12月に公表された「映画・アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態調査報告書」が主要議題のひとつとなった。動画配信事業者との交渉における情報の非対称性、生成AIがクリエイターの取引条件に与えるリスク、著作権譲渡に関する若手クリエイターの理解不足など、有識者からは実態調査の射程を超える構造的な問題が提起された。
本記事では、懇話会での議論のうち映画・アニメの取引環境に関する内容を中心に伝える。
動画配信事業者の視聴データ非開示がもたらす交渉の非対等性
懇話会で特に注目を集めたのが、動画配信事業者と制作側の契約をめぐる問題だ。
会員の指摘によると、両者の契約方式は大きく分けて2種類ある。一定額を支払う「フラット型」と、視聴実績等に連動する「成果報酬型(レベニューシェア)」だ。問題はフラット型契約で、プラットフォーム側が視聴回数の情報を制作側に開示しないケースがあるという。
配信回数のデータが共有されなければ、制作側は自社作品がどれだけ観られたのか把握できない。次回作の契約交渉で配信実績をもとに条件を提示することもできず、プラットフォーム側が圧倒的に有利な立場で交渉を主導する構造が固定化してしまう。会員はこの状態を「決して対等な交渉とは評価できない」と明言し、実態調査報告書でこの点が指摘されていることを評価した。

