NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)は2026年1月10日、第4回「観たいのに観れなかった映画賞(以下、MME賞)」の投票受付を開始した。
対象となるのは2025年1月1日から12月31日までに公開された日本映画(合作含む)。投票期間は2026年1月31日までとなっている。
本賞は、多忙な日々を送る働く女性たちが「映画館で観たかったのに観れなかった作品」に投票するというユニークな映画賞だ。単なる人気投票にとどまらず、映画館へ足を運べない阻害要因を可視化し、映画業界の労働環境改善や興行収入の向上につなげることを目的としている。
全業種の働く女性へ投票呼びかけ
第4回となる今回の投票資格は、業種を問わず「すべての働く女性(性自認が女性)」が対象だ。現在就労中の人だけでなく、妊娠・育児、介護、療養などで一時休職中の女性も含まれる。
投票フォームでは、リスト化された約620本の2025年公開作品の中から、劇場鑑賞を逃した作品を選択(複数回答可)する形式をとる。配信やパッケージで鑑賞済みであっても、「本当は映画館で観たかった」という思いがあれば投票対象となる点が特徴だ。
swfiは当初、映像業界内部の女性を対象に本企画を開始したが、「映画館と距離ができているのは業界内の女性だけではない」という反響を受け、前回より対象を全業種の働く女性へと拡大。昨年は367名が参加し、潜在的な観客ニーズを浮き彫りにした。
映像業界の「違和感」から誕生。「観に行けない理由」を可視化し興収増に貢献へ
MME賞設立の背景には、映像業界で働く女性たちが抱いていたパラドックスがある。「映画が好きで業界に入ったにもかかわらず、激務により映画館に行く時間がない」「映画賞に投票したくてもノミネート作を観られていない」という現場の実情だ。
本賞の重要性は、投票と同時に行われるアンケート調査にある。「どのような環境であれば映画館に行くことができたか」という問いを通じ、勤務形態、上映時間、経済的要因、託児環境といった具体的な障壁をデータ化する。昨年の結果では「休暇の不足」や「可処分所得の問題」が上位に挙がった。
主催のswfiは、こうした「観に行けない原因」を解決することが、結果として映画市場の拡大に直結すると考えている。働く女性が映画館に足を運びやすい環境を作ることで、映画業界全体の収益構造を安定させ、ひいては制作現場の労働環境改善へとつなげるという狙いだ。
「映画館に行ける環境づくり」を目指して
賞の名称にある「観れなかった」という表現には、文法的な誤り(ら抜き言葉)があえて採用されている。ここには「観たいのに観に行けなかった」という悔しさと、現状への違和感が込められているという。
swfiは本賞の最終的な目標を「この映画賞がなくなること」と定めている。すべての働く女性が、観たい映画を好きなだけ映画館で享受できる労働環境・社会環境が実現すれば、この賞の役割は終わるからだ。
映画興行を「観客動員」ではなく「機会損失」の側面から振り返る本企画。集まったデータは今後の映画館運営やマーケティング施策、そして働き方改革にとっても重要な示唆を与えるものになりそうだ。
投票および詳細は、swfiの公式フォームよりアクセス可能となっている。
【第4回 MME賞 実施概要】
投票期間: 2026年1月10日(土)~1月31日(土)
対象作品: 2025年公開の日本映画および合作
投票資格: すべての働く女性(性自認女性/休職中含む)
主催: NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)


