【アヌシー現地レポート】仏アニメーション市場、製作減速の一方で映画は過去最多——文化政策のモデル再設計の必要も

アヌシー国際アニメーション映画祭のマーケット「MIFA」で、CNCが仏アニメーション市場の最新動向を報告した。テレビシリーズの製作は周期的な低下局面に入り、海外資金や受託制作も縮小する一方、長編映画は過去最多の製作本数を記録。配信、輸出、雇用、AIまで、フランス・アニメーション産業の現在地を整理する。

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【アヌシー現地レポート】仏アニメーション市場、製作減速の一方で映画は過去最多——文化政策のモデル再設計の必要も
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アヌシー国際アニメーション映画祭の併設マーケット「MIFA」で、CNC(フランス国立映画映像センター)によるカンファレンス「CNC Conference – Animation Market Trends」が開催された。

登壇したのは、CNC会長のGaëtan Bruel氏と、同センター調査・統計・予測部門ディレクターのCécile Lacoue氏。例年アヌシーで発表されるこの市場レポートは、フランスのアニメーション産業を、製作・資金調達、映画館・テレビ・VODでの流通、輸出、雇用、AIを含む産業課題まで多角的に捉える。

今年の報告から浮かび上がったのは、明確な二面性だ。テレビシリーズは、製作時間数、海外資金、受託制作、雇用のいずれにも減速感が見える一方、長編アニメーション映画はフランスが主導する作品が過去最多を記録し、国際映画祭や海外市場でも存在感を高めている。CNCが強調したのは、危機を悲観論で終わらせず、制度、資金、国際展開、技術革新をどう組み合わせて次の成長につなげるかという問いだった。


「アニメーションセンター」開館が象徴する、フランス・アニメーションの蓄積

冒頭に登壇したBruel氏は、まずアヌシーという場の特別性に触れた。世界最古のアニメーション映画祭でありながら、「初めての時のようなエネルギー」がある、と語る。また、アヌシーに新たに開館した「Cité internationale du cinéma d’animation(国際アニメーション映画センター)」の意義についても触れた。

この施設は単なるミュージアムではなく、常設・企画展示、映画館、映像教育、アーティスト・レジデンスを含むアニメーション文化の総合拠点となる。Bruel氏はこれを、フランスのアニメーション・エコシステムを映す鏡だと称賛した。

「アヌシーは年に一度、一週間だけ世界のアニメーションの首都になるのではなく、これからは一年中そうであるべきだ」。この言葉は、フランスがアニメーションを文化政策と産業政策の双方で戦略的に位置づけていることを示唆している。

資金調達危機の中で問われる、創造性への投資

しかし背後の市場環境は厳しい。Bruel氏は、フランス・アニメーションが「芸術的にも産業的にも宝石のような存在」だとしながらも、その資金調達基盤が深刻な圧力を受けているとする。特に世界的に配信プラットフォームの発注が縮小し、従来型の放送局も財政的制約に直面しているという。

そのためCNCはこの1年、支援制度の見直しを進めてきた。テレビ向けでは企画準備段階への支援を強化し、フランスの放送事業者による出資要件の例外運用も調整、国内製作を後押しするため税額控除の上限も引き上げた。長編映画分野でも、開発期間の長さや予算規模を踏まえ、自動助成、開発支援、国際共同製作支援、アニメーション技術支援の強化が進む。特にアニメーション技術支援は2019年以降段階的に拡充され、直近3年で予算がさらに25%増加したという。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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