2026年3月、香港フィルマートにて開催されたビジネスカンファレンス「Breaking Boundaries Going Global: Billion-Level Monetization Through Short Dramas & AI-Generated Comic Dramas(境界を越えてグローバルへ:ショートドラマとAIアニメを通じた海外での数億レベルの収益化)」は、現在のグローバル映像ビジネスの最前線を浮き彫りにした。酷看文化(Kukan Culture)が主催し、YouTubeがサポートしたこのイベントには、プラットフォーマー、トップ制作スタジオ、AI技術開発者、そしてデータ分析機関が一堂に会した。
過去1年間の世界のコンテンツ産業の変化を2つの言葉に凝縮するならば、それは間違いなく「ショートドラマ」と「AI」だろう。ショートドラマは世界のユーザーの視聴習慣を塗り替え、AIはコンテンツの生産方式を根本から変革している。
本記事では、このカンファレンスで示された、この2つの潮流が融合することで生まれる新たなビジネスモデルと、中国映像産業のグローバル戦略をレポートする。
グローバル化するショートドラマ市場の壁とプラットフォーム戦略
海外ショートドラマ市場の現状:成長の鈍化と進む寡占化
短劇自習室(Short Drama Study Room)の運営ディレクター、謝俊金氏が提示したデータによれば、2025年の世界のショートドラマ市場収入は139億ドル(約2兆円)に達する見込みだ。その内訳は、中国市場が109億ドル(成長率51.4%)、海外市場が30億ドル(成長率145.7%)となっている。


2023年を海外展開の「元年」とし、2024年に爆発的な成長を遂げた同市場だが、直近では明らかな成長の鈍化が見られる。2025年の四半期別のアプリ内収益成長率を見ると、Q1は35%と好調だったものの、Q2で11%、Q3で13%と落ち込み、Q4にはわずか1%の成長にとどまっている。


成長鈍化の背景にあるのが、上位アプリによる市場の高度な寡占化だ。ユーザー課金収入において「ReelShort」と「DramaBox」が市場を牽引しており、上位5アプリの市場シェアは全四半期を通して60%を超え、Q4には70.6%にまで達している。国別に見ても、収益面では米国市場が他を圧倒して一極集中する一方、ユーザー規模(ダウンロード数)ではインドが首位を独走するという構造的な偏りがある。
既存のやり方ではコンテンツ供給に限界が
市場が成熟に向かう中、業界内部の深刻なボトルネックとなっているのが「コンテンツ供給能力」の限界だ。実写ショートドラマの制作コストは上昇を続けている。また、現地の優秀なストーリー供給の不足、未成熟な脚本制作体制、限られたIP供給といった「脚本面」の課題に加え、制作フローや人材システムの未成熟さという「制作面」の課題も露呈している。
巨大プラットフォーム・YouTubeのショートドラマ戦略
こうした中、グローバル展開の鍵を握るのが世界最大のストリーミングプラットフォームであるYouTubeだ。GoogleのTV & Film部門シニアマネージャー、Chloe Tai氏によるプレゼンテーションでは、プラットフォームの圧倒的なリーチと具体的な成長戦略が公開された。









