東映アニメーションは2025年3月期第3四半期(2024年4月1日~2024年12月31日)を好調な数字で通過した。
今期は通期売上高を前期比1.5%増の900億円、営業利益を同15.6%増の270億円と予想しているが、進捗率はともに80%を超えている。『THE FIRST SLAM DUNK』などのメガヒット作品の収益貢献は落ち着きを見せているものの、バンダイナムコエンターテインメントの『ドラゴンボール Sparking! ZERO』が海外で空前のヒットを飛ばすなど、版権収入の伸びが著しい。
2024年10月に放送を開始した『ドラゴンボールDAIMA』はNetflix世界2位を獲得した。このシリーズは海外での強さを見せつけている。
『ゲゲゲの鬼太郎』をヒットIPに押し上げる兆しも
2025年3月期第3四半期累計の売上高は前年同期間比8.3%増の727億円、営業利益は同31.5%増の233億7,700万円だった。通期計画への進捗率は売上高が80.8%で、営業利益が86.6%。前期は売上高が80.9%、営業利益が86.7%だった。足元の進捗率は前期と似通っている。
前期は第3四半期通過時点の通期予想を売上高が6.8%、営業利益が14.0%それぞれ上振れて着地をしている。東映アニメーションは前期減収予想を出していたが、一転して増収となった。
仮に今期も7%程度売上高が上振れたとすると、960億円程度で着地することになる。今期は難しいかもしれないが、売上高は1,000億円の大台に乗りそうな勢いだ。
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※決算短信より筆者作成
東映アニメーションは2022年に潮目が完全に変わった会社だ。『ONE PIECE FILM RED』と『THE FIRST SLAM DUNK』、そして『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の3作を公開したのだ。ドラゴンボールは日本でのヒットは限定的だったが、全世界で100億円を超える興行収入を得ている。
2024年3月期も増収で持ち込めたのは、『ONE PIECE FILM RED』と『THE FIRST SLAM DUNK』の配信権やDVD、関連商品、リバイバル上映の人気が根強かった影響が大きい。今期はメガヒット作品からの収益還元が限定的となるタイミングだ。