調査・コンサルタント会社Ampere Analysisの新たなレポートによると、2024年第1四半期のストリーミングプラットフォーム向けのオリジナルコンテンツ発注数においてNetflixとAmazonが全世界の半分以上(53%)を占めており、両社はタイトルの大半を米国外に発注しているとのことだ。
Netflixは200以上の番組と映画を発注し、Amazonは約140本と続いた。これはNetflixにとっては過去3年間で最大数であり、Amazonプライム・ビデオにとっても記録更新となった。この増加は、コスト削減を重視する他サービスが発注数を減らしていることに起因するという。
また両社のオリジナル作品において、米国内よりも米国外での発注数が上回った。Netflixは第1四半期に西ヨーロッパで大型タイトルを発表したことが特徴で、西ヨーロッパでの発注数が北米とほぼ同数になった。特に費用対効果の高い台本なし(アンスクリプテッド)コンテンツは西ヨーロッパでの依頼で大きく取り上げられ、ドキュメンタリーは地域発注の30%を占めた。さらにアジア太平洋地域のタイトルも顕著に増加しているという。アジアでは、タイが9本の発注を受けて最大の伸びを記録。インドでは犯罪やスリラー系のコンテンツが注目されており、Netlifx最大の加入者の拠点になると予測されている。
Amazonは、アジア(特にインド)で過去最高となる37本の新作を発注。これまでで最大のインドオリジナル映画のラインナップも発表し、地元の劇場配給会社とのペイワン契約や共同出資契約を積極的に進めている。さらに、加入者数でNetflixをリードしているドイツでは、西ヨーロッパで最大となる13のコンテンツを発注した。
一方でこの調査はジャンルや予算レベルを区別しておらず、国際的な番組制作のコストは米国よりもかなり低いため、発注数が多いからといって必ずしも国際的なコンテンツ費用が米国コンテンツよりも多くなるとは限らないとThe Hollywood Reporterは指摘している。Ampere Analysisのシニアリサーチャーであるマリアナ・エンリケス・デントン・バスティンザ氏は、「北米市場の飽和、制作費の増大、ハリウッドストライキの長引く影響により、NetflixとAmazonは加入者増を刺激するために国際的な作品への投資を増やしている」「いくつかのスタジオが支援するSVODが国際的な削減を行っている一方で、これら2つのストリーミングの巨人は、地域化されたグローバル戦略を倍増させている」とコメント。
さらに2社の戦略的な違いについて、Netflixが「幅広い加入者層に対応しながら、クロスオーバーの魅力が最も期待できる作品に傾注している」のに対し、Amazonは「インドなどの主要市場をより強くターゲットとしながらも、グローバルな地位を活かして劇場市場にさらに進出し、プラットフォームから川下の収益を生み出している」と述べている。
Other Sources:Deadline, Variety, IndieWire