文化庁所管の芸文振、クリエイター・コンテンツ人材育成21件を採択。約45.46億円規模で支援

日本芸術文化振興会は、文化芸術活動基盤強化基金「コンテンツ制作・発信を支える中核的専門人材育成・確保等」第1回募集の採択先21件を発表した。マンガ、アニメ、ゲーム、映像、音楽、出版分野で、翻訳、ライツ、制作進行、3DCG、AI、ライブ演出などの中核人材育成を支援する。

働き方 業界団体・行政
出典:独立行政法人 日本芸術文化振興会
出典:独立行政法人 日本芸術文化振興会

独立行政法人日本芸術文化振興会は7月3日、文化芸術活動基盤強化基金によるクリエイター等育成支援「コンテンツ制作・発信を支える中核的専門人材育成・確保等」第1回募集の採択先を発表した。

同事業は、マンガ、アニメ、ゲーム、映像、音楽、出版・ライツなど、コンテンツ制作・発信の現場を支える中核的専門人材の育成・確保を目的とするものだ。今回の第1回募集では、委託型10件、補助型11件の計21件を採択した。採択額の合計は約45.46億円。


マンガ・アニメ分野は、翻訳・IP展開・制作現場人材の育成を強化

マンガ分野:翻訳者、海外へのIP展開など

マンガ分野では4件が採択された。海外展開を支える翻訳者、ライツ人材、国際ブックフェアに対応できる人材の育成が中心となる。

特定非営利活動法人映像産業振興機構は、「HOLA, MANGA! 日本語からスペイン語へのマンガ翻訳者育成プロジェクト」に取り組む。スペインの翻訳会社DARUMA社と連携し、スペイン語圏向けのマンガ翻訳者を育てる。翻訳技術に加え、ローカライズ、AIツールの活用、法務、就業ノウハウまで扱うカリキュラムを提供する計画だ。

株式会社角川メディアハウスは、「マンガIPの二次利用・海外展開を担う中核的専門人材の育成プロジェクト」を行う。国内セミナーと海外研修を組み合わせ、商品化企画、海外ライセンス、翻訳監修、国際商談、映像化や観光との連携などを学ぶ実践型プログラムを展開する。

株式会社コアミックスは、「次世代マンガ翻訳家育成プロジェクト」を進める。マンガ家、編集者、翻訳家の分断を見直し、制作や編集への理解を備えた翻訳者を育成する。マンガ家や編集者向けの教育プログラムも組み込み、海外展開に対応できる翻訳人材の育成モデル構築を目指す。

一般財団法人出版文化産業振興財団は、「マンガ分野等における翻訳者育成・確保プロジェクト」を実施する。マンガだけでなく、文芸書や児童書の翻訳も視野に入れ、OJT、ワークショップ、ピッチトレーニング、国際ブックフェアでのマッチングを行う。翻訳者に加え、国際ブックフェアや文学イベントを企画・運営できる人材の育成にも取り組む。

アニメ分野:動画・原画、制作進行や演出も育成

アニメ分野では5件が選ばれた。制作現場の人材不足に対応するため、教育機関との連携、動画・原画人材の育成、制作進行・演出人材の確保、地域拠点での人材循環が主なテーマとなっている。

株式会社KADOKAWAクリエイターズは、産学官連携による中核的専門人材の育成・定着支援を進める。動画工房が開発した全84工程の教材「アニメータードリル」を教育機関に導入し、専門学校と制作現場をつなぐ。修了者のアルバイト体験や雇用機会の創出、ワークショップ開催などを通じて、アニメーターの定着を後押しする。


学校法人呉学園は、ササユリ動画研修所と連携し、アニメーション教育キットを開発・普及する。教科書、映像教材、添削システム、指導要領を整え、指導者不足の教育機関でも質の高い授業を実施できる環境をつくる。検定試験や指導者講習会、外国語版教材の整備も進める。

ソニーグループ株式会社は、「FLINT BASE」を通じて動画・原画の中核人材を育成する。将来性のある若手人材を受け入れ、2年間の実務を通じて段階的に育てる。複数のアニメスタジオの育成ノウハウを活用し、教材や評価方法、運営フローを体系化して、業界内で共有することも目指す。


株式会社新潟日報社は、「新潟アニメ人材育成・確保ゲートウェイプロジェクト」を実施する。新潟県、教育機関、県内制作会社、新潟国際アニメーション映画祭などと連携し、県内スタジオでのOJT、若手リカレント教育、ポートフォリオレビュー、学生向け実践課題などを展開する。地域内で学び、働き、定着する仕組みづくりを進める。


一般社団法人日本動画協会は、アニメーション制作人材の育成・確保に向けた基盤整備に取り組む。人材不足が特に深刻な制作進行と演出について、緊急的な育成講座を開発・試行する。専門学校生や志望者を対象にした全職種育成プログラム、小中高生向けの職業理解促進も進める。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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