東京都と一般社団法人日本動画協会が運営する「アニメ東京ステーション」(東京都豊島区)にて、2026年1月23日(金)、シンポジウム『アニメアーカイブビジョン2025 第4弾「アニメアーカイブは文化と産業のインフラ!~未来へつなぐ課題とこれから~」』が開催される。
本イベントは、アニメーション制作における中間成果物や原版などの「アーカイブ」を、単なる保存活動ではなく、産業を持続させるための「インフラ」と定義し、その課題と未来を議論するものだ。登壇者には、KADOKAWA、手塚プロダクション、東映アニメーション、トムス・エンタテインメントといった業界大手4社のアーカイブ専門担当者が名を連ねている。
「保存」から「活用」へ。直面する資金・人材・体制の課題
日本のアニメ産業が世界的な拡大を見せる一方で、制作過程で生み出される膨大な資料やデータの保存・管理は、長年の課題となっている。現場では常に「資金」「体制」「人材不足」に加え、「利活用環境の未整備」といった壁が立ちはだかり、アーカイブ事業は利益を生みにくいコストセンターと見なされがちである。
しかし、アーカイブは教育や人材育成、文化継承に直結するだけでなく、リマスターや商品化、海外展開といったビジネスの根幹を支える社会的基盤(インフラ)でもある。
今回のシンポジウムでは、以下のテーマを軸に議論が展開される予定だ。
アニメ映像アーカイブの全体像
「価値」と「還元」: 「何を残すか」という選定基準と判断プロセス
「人財育成」と「体制」: 組織内での連携と専門職の育成
制度・実務: 契約や助成金の活用に関する考察
業界を牽引する4社の「実務のエキスパート」が登壇
本シンポジウムには、実際にアーカイブの最前線で指揮を執る実務者が登壇する。各社の登壇者と背景は以下の通り。
株式会社KADOKAWA(平山ひとみ氏): 大映・角川映画時代からのアーカイブ経験を持ち、2020年からはアニメ映像原版や中間成果物を一元管理する専門部署の立ち上げと管理基盤構築に従事している。
株式会社手塚プロダクション(岡崎茂氏): 1985年から制作に携わり、長年アーカイブを専任。映像資産の保存のみならず、展示や教育、事業化への展開を含めた総合的なアーカイブを実践している。
東映アニメーション株式会社(金子治憲氏): サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)を経て、現在は東映アニメーションにてアーカイブ業務全般を担う。約150作品のリマスター業務経験を持つなど、技術面にも精通している。
株式会社トムス・エンタテインメント(木田努氏): 社内横断型アーカイブプロジェクトを発足させ、版権・中間成果物・原版・システムを連携。制作と営業を横断する視点で、素材の回収から利活用までの支援を推進している。
モデレーターはアニメ東京ステーションのアーカイブ担当であり、日本動画協会データベースアーカイブ委員長を務める植野淳子氏が担当する。
過去の資産をいかに管理し、未来の収益やクリエイティブへ接続するかは、経営層にとっても無視できないテーマといえる。定員は約50名と限られているため、映像産業に関わる関係者は早めのチェックが必要だ。
【開催概要】
イベント名: アニメアーカイブビジョン2025 第4弾『アニメアーカイブは文化と産業のインフラ!~未来へつなぐ課題とこれから~』
日時: 1月23日(金)18:00~20:00(受付開始17:30)
会場: アニメ東京ステーション 特設会場 14階(東京都豊島区南池袋2-25-5 藤久ビル東五号館)
主催: 東京都
協力: 一般社団法人日本動画協会 データベースアーカイブ委員会
参加費: 無料(事前申込・抽選制)
※申込多数の際は先着順に締め切りとなる場合あり。申込締切: 2026年1月18日(日)23:59まで

