イスラエル・ガザ戦争をめぐるハリウッドの分断 SNSでの発言でエージェンシーから追い出された俳優も

イスラエルとハマスの対立が悪化して以来、イスラエルの行動を批判する一連のソーシャルメディアへの投稿をきっかけに、ハリウッドでは様々なニュースが飛び交っている。

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イスラエル・ガザ戦争をめぐるハリウッドの分断 SNSでの発言でエージェンシーから追い出された俳優も
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  • トム・クルーズ
  • ティモシー・シャラメ
  • メリッサ・バレラ

Photo by Bryan Bedder/Getty Images for Paramount Pictures, Photo by Jeff Spicer/Getty Images for Warner Bros., Photo by Jerod Harris/Getty Images

イスラエルとハマスの対立が悪化して以来、イスラエルの行動を批判する一連のソーシャルメディアへの投稿をきっかけに、ハリウッドでは様々なニュースが飛び交っている。

イスラエル・ガザ戦争に対するスタンスや発言を巡る、大手エージェンシーの判断

イスラエル・ガザ戦争に対するスタンスや発言を巡って、大手エージェンシーも様々な対応を取っている。

Varietyによると、10月7日にイスラエルで起きたハマスによるテロ攻撃の4日後、大手タレントエージェンシーのWMEは、ユダヤ人の従業員を慰めるため、ユダヤ教のウィルシャー・ブルバード寺院の指導者を本社に招きイベントを開催した。このイベントは強制ではなく、ゲストのスピーチは世俗的なものだったが、何人かのスタッフから不満の声が上がったそうだ。それを聞いたWMEの共同会長は屈服する代わりに、11月1日、名誉毀損防止連盟(米国最大のユダヤ人団体)のジョナサン・グリーンブラットCEOを招き、講演会を開いた。出席者によると、グリーンブラット氏は言葉を濁さず、ハマスの攻撃後に声明を出すことを拒否した全米脚本家組合(WGA)を非難したという。

また、WMEの最大のライバルであるCAAは、トップエージェントの一人であるマハ・ダキル氏の問題に直面していた。ダキル氏は反イスラエルの扇動的なインスタグラムへの投稿をめぐって大炎上し、同社映画部門の共同責任者の職を解かれた。これを受けて、彼女の顧客であるトム・クルーズが直接出向き、ダキル氏への支援を表明したことが話題となった。ダキル氏は共同責任者からは外されたものの、エージェントのままであることは許されたという。

さらにLos Angeles Timesは、米大手エージェンシーUTAは俳優のスーザン・サランドンが親パレスチナ派の集会で紛争に関する発言をしたことを受け、サランドンをクライアントから外したことも報じている。

イスラエルを非難するSNS投稿で、メリッサ・バレラが『スクリーム7』を降板

Entertainment Weeklyによれば、『スクリーム7』の主演女優であるメリッサ・バレラは、イスラエルを“植民地化された土地”と称しイスラエル人に対して「大量虐殺」や「民族浄化」という言葉を使ったソーシャルメディアへの投稿のせいで降板させられたという。また、Varietyが報じたところによると、同作の広報担当者は彼女が解雇された理由について、バレラがパレスチナの大義への支持を表明したためではなく、投稿が“反ユダヤ主義”と解釈されたためだと明らかにした。

さらに、バレラと共に姉妹役で共演していたジェナ・オルテガが『スクリーム7』では降板するというニュースが、バレラの解雇が報じられた翌日に明らかになった。報道によると、この降板はバレラの解雇には関係がなく、SAG-AFTRAのストライキが始まる数ヵ月前から決まっていたとされている。

ハマスをジョークにしたSNLとティモシー・シャラメは批判を受けたが……

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の公開を12月8日に控え、初来日を果たしたティモシー・シャラメは、来日の直前に出演した「サタデー・ナイト・ライブ」にて批判を浴びた。番組内のコントに登場したシャラメは、自殺願望のあるミュージシャン役を演じ、自身のバンド名は「ハマス」であると話す。これに対して「ありえない」などの意見も挙がっていた。

しかし、そのような騒動の中でも『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の北米興行収入予想は上がっている。Deadlineによると、トラッキング予想は約4,000万ドル(約5億9,000万円)とされているという。クリスマス前に公開されるのはどんな映画にとっても常にリスキーだが、ファミリー向け映画は比較的安全とのことだ。ハリウッドストライキ後にマーケティングキャンペーンが解禁となり、「サタデー・ナイト・ライブ」への出演や『GQ』の表紙を飾ったことが、作品の宣伝を後押ししたと言われている。

Please Don't Destroy - Jumper - SNL

イスラエルに関しては、ハリウッドでは以前から「大量虐殺」という言葉の使用が問題視されてきた。2021年、マーク・ラファロはイスラエルが大量虐殺を行っていると示唆したことを謝罪し、「正確ではなく、扇動的であり、無礼であり、国内外の反ユダヤ主義を正当化するために使われている」と付け加えた。2014年、ハビエル・バルデムとペネロペ・クルスは、イスラエルのガザ地区での活動を「大量虐殺」と呼ぶ書簡に署名した。二人はその後、広く批判された後に立場を明らかにしたと前述のVarietyの記事で報じられている。

中東で起こっているイスラエル・ガザ戦争の解釈を巡って、ハリウッドの分断はさらに深まっていきそうだ。

《伊藤万弥乃》
伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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