ロサンゼルス市および郡の公式撮影窓口を務める非営利団体FilmLAは、2025年第1四半期(1月~3月)における地域のロケーション撮影日数が前年同期比で22.4%減少したと発表した。世界的な制作減少と他地域との誘致競争の激化を背景に、ロサンゼルスでは5,295撮影日(Shoot Days)にとどまった。
FilmLAが追跡しているすべての主要ジャンルにおいて減少が見られ、特にテレビ制作は大きな落ち込みを示した。ドラマ、コメディ、リアリティ、パイロット作品などを含むテレビ撮影は1,670撮影日で、前年同期比30.5%減。劇映画も28.9%減の451撮影日だった。一方、コマーシャルは2.1%減の796撮影日と、比較的健闘した。
FilmLAは、ロサンゼルス市および郡の撮影許可を管轄する団体であり、2017年の統計開始以降(パンデミックによる撮影停止のあった2020年を除く)、今回の数字は過去最低水準に近いものだとしている。2023年のストライキ終了から1年以上が経過したものの、ロサンゼルスの制作活動は回復の兆しを見せていない。
山火事の影響は限定的

パシフィック・パリセーズおよびアルタデナで発生した大規模山火事による影響について、FilmLAは「局地的な影響にとどまり、地域全体の撮影件数には限定的」と分析。被災地域には過去4年間で1,405件の撮影が行われたが、地域全体の1.3%に過ぎない。約545件の撮影地が火災で焼失し、市と郡の命令により立ち入り禁止が継続している。
テレビ制作の減少が雇用にも波及
FilmLAは、テレビ制作の低迷がロサンゼルスの映像産業における最大の打撃であると指摘する。2021年には年間1万8,560撮影日を記録していたが、2024年は7,716撮影日と、わずか3年で58.4%もの減少となった。
ジャンル別では、テレビドラマが38.9%減の440撮影日。うち17.5%(77撮影日)はカリフォルニア州の撮影税控除制度の対象作品である。テレビコメディは29.9%減の110撮影日、リアリティ番組は26.4%減の969撮影日だった。パイロット作品はわずか13撮影日で、前年の66撮影日から80.3%も減少した。
小規模撮影も減少
静止画、学生映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオなどを含む「その他」のジャンルも20.2%減の2,378撮影日に落ち込んだ。5年間の平均と比べても大きく下回っている。
州の撮影インセンティブ拡充を訴え

こうした状況を受けて、FilmLAはギャビン・ニューサム州知事が提唱する「カリフォルニア州映像制作税控除プログラム」の拡充案に強く支持を表明。年額7億5,000万ドル以上への増額と、国際的競争力を強化する法案(SB630およびAB1138)の成立を求めている。FilmLA代表のポール・オードリー氏は3月に州議会で証言し、同制度の重要性を訴えた。
「ロケーション撮影1日あたりが地域経済にもたらす経済効果は67万ドル、雇用創出は1,500人に上ると推定される。ロサンゼルス郡とBeacon Economicsの調査では、州内にエンタメ関連企業は1万500社存在する。これ以上、他地域に仕事を奪われる余裕はない」と広報担当のフィリップ・ソコロスキー氏は述べた。
FilmLAは、引き続き地域経済の回復と撮影活動の活性化に向け、州・市・制作関係者との連携を進める方針だ。