Amazon、ハリウッドのダブルストライキにかかわらずコンテンツ支出は前年比で14%増

2023年にAmazonはMGMの買収が完了し、映画やドラマシリーズ、スポーツ番組などに注力。

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Photo by Stefano Guidi/Getty Images Amazon

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2023年は、ダブルストライキの影響で作品の制作が中断となり、エンターテイメント業界が甚大な打撃を受けた。それにもかかわらず、Amazonの2023年次報告会にて、同社のコンテンツ支出が189億ドル(約2兆8,000億円)に増加していたことが明らかとなった。

The Hollywood Reporterによると、他メディア企業がコンテンツ支出の減少に努めるなか、2023年にAmazonはTV番組や映画、音楽、スポーツ番組に力を入れ、2022年の166億ドルから189億ドルへコンテンツ支出が14%増加した。


ちなみに、2023年におけるNetflixのコンテンツ現金支出は126億ドル(約1兆8,700億円)だったと報告されており、ダブルストライキの影響で、以前に予想されていた170億ドル(約2兆5,200億円)よりも数字が減少。Netflixと同様に、ディズニーや他社のコンテンツ支出も、前年比で若干減少したと伝えられている。

2023年はAmazonプライム・ビデオにとって、新分野へ進出する極めて重要な年となった。同社は、NFL(米プロアメリカン・フットボールリーグ)と提携してブラックフライデー試合の配信を初めて開始しただけでなく、大手映画会社MGMの買収が完了し、MGMが権利を所有していた映画やTV番組の配信を開始した年でもあった。

Varietyによると、AmazonのCEO(最高経営責任者)アンディ・ジャシー氏が第4四半期決算会見にて、「プライム・ビデオは単独で、大規模かつ収益性の高いビジネスになり得るとの確信を深めている」と発言。毎週木曜日にNFLの試合を配信する「Thursday Night Football」をはじめ、Amazonプライム・ビデオのオリジナルドラマ「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」や「ジャック・リーチャー ~正義のアウトロー~」、「シタデル」、「Mr. & Mrs. スミス」など、加入者向けの魅力的な独占コンテンツに投資を続けていく計画も明かした。

さらに同氏は、1月29日に開始されたプライム・ビデオのデフォルト広告導入に言及し、「時間をかけて、コンテンツに有意義な投資を続けることができるだろう」とも述べた。Amazonは、加入者が追加料金(米国では月額2.99ドル=約440円)を払って広告フリーにしない限り、コンテンツに広告が掲載されるフォーマットを主要市場で開始した。一部のアナリストはこのフォーマットにより、2024年にプライム・ビデオが30億ドル(約4,450億円)以上の増収を生み出すと予測している。

また、Amazonで最高財務責任者(CFO)を務めるブライアン・T・オルサフスキー氏は、2023年第4四半期に、英国やその他の市場で新たなスポーツ放映権を獲得したためコンテンツ費用が増加したが、消費者からの反響を考えると投資の価値があるとし、2024年も継続してスポーツ番組に注力していく方向性を示していた。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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