新千歳空港国際アニメーション映画祭、次世代クリエイター向け育成プログラム「NEW CHITOSE TAS」を新設

新千歳空港映画祭は2025年に次世代アニメクリエイター育成プログラム「NEW CHITOSE TAS」を開始し、国内若手の成長と交流を促進する。

グローバル マーケット&映画祭
NEW CHITOSE AIRPORT テイクオフ・アニメーション・セミナー(通称:NEW CHITOSE TAS)
NEW CHITOSE AIRPORT テイクオフ・アニメーション・セミナー(通称:NEW CHITOSE TAS)

新千歳空港国際アニメーション映画祭実行委員会は、2025年11月21日から開催される映画祭会期中に、新たな体験型育成支援プログラム「NEW CHITOSE AIRPORT テイクオフ・アニメーション・セミナー(通称:NEW CHITOSE TAS)」を初開催する。これに伴い、7月22日から参加者の募集を開始した。本プログラムは、日本国内で活動する若手アニメーション制作者を対象に、映画祭という国際的な場で立体的な学びとネットワーキングの機会を提供するもので、アニメーションの未来を担う人材の発掘と育成を目指す。


「PITCH」を発展、次世代育成に特化した新プログラム始動

「NEW CHITOSE TAS」は、同映画祭が2021年から4年間にわたり実施してきた新作プレゼンテーション企画「NEW CHITOSE AIRPORT PITCH」を、次世代育成に特化させる形で発展させたプログラムである。「触れる」「深める」「つながる」の3つの柱を軸に、参加者が映画祭を最大限に活用できる支援を行う。

具体的には、世界中から集まった最新のアニメーション作品に「触れる」ための鑑賞機会、映画祭プログラムチームを交えたディスカッションを通じて作品を多角的に読み解き「深める」場、そして国内外のゲストや業界関係者と「つながる」ための公式行事への招待や自身の活動を紹介するプレゼンテーションの機会が提供される。従来のプレゼン企画から一歩踏み込み、より包括的で密度の濃い体験を通じてクリエイターの成長を後押しする。

滞在費支援と濃密なネットワーキング機会、対象は若手クリエイター

本プログラムの募集対象は、日本国内を活動拠点とする学生、または卒業後5年以内か制作活動歴が5年以内の若手クリエイター。監督やプロデューサー、アニメーターといった職種は問われず、アニメーション制作に携わった経験があれば応募が可能だ。

選考を通過した5名程度の参加者には、映画祭事務局から会期中の宿泊ホテル(空港国内線直結)と、上映プログラムを鑑賞できるチケットが提供される。これにより、参加者は費用負担を軽減しながら、開閉会式やレセプションを含む映画祭の全日程(2025年11月21日~25日)に集中して参加できる。業界の第一線で活躍するプロフェッショナルとの交流は、今後のキャリア形成において貴重な資産となるだろう。

参加者には、自身の過去作品の上映や新作企画のプレゼンテーション、指定プログラムの鑑賞とディスカッションへの参加、そして映画祭終了後のレポート提出が求められる。募集締切は2025年9月22日まで。

「アニメーションの“次”をつくる」―映画祭が目指す未来と若手への期待

本プログラムの新設について、映画祭チーフディレクターの小野朋子氏は「映画祭はアニメーションの多様な“いま”を共有する場であると同時に、アニメーションの“次”をつくる場」であると述べている。PITCHでの経験を活かし、作家だけでなく多様なジャンルのアーティスト、特に次世代を担う人材へ向けて、学びとネットワーキング機会の創出を重視した施策として本プログラムを立ち上げたとその背景を語る。

また、「参加者にはこの体験が創作への刺激となること、そして今度は新たな作品で本映画祭を目指すよう願う」と述べるとともに、「私たちもまた未来を見据えるために、若いインディペンデントの視点がもたらす力を期待する」と、若手クリエイターとの相互作用への期待感を示した。本プログラムは、単なる支援に留まらず、映画祭自身が未来のアニメーション文化を創造していくための重要な布石と位置づけられるだろう。

応募資格や要項の詳細、応募フォームは新千歳空港国際アニメーション映画祭の公式ウェブサイトで確認できる。

《杉本穂高》

関連タグ

杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

編集部おすすめの記事