制作本数13%減、稼働率50~55%。英国映像産業の労働力とAI導入の現在地を示す最新レポートが発表

英国の映像制作人材に関する最新レポートが公表された。制作本数の減少により、2025年の人材稼働率は約50%に落ち込んでいる。現場での役割統合や、2028年までに最大80%の業務に影響を与えるAIの普及で効率化が進む一方、若手の育成機会減少が懸念される。日本の業界にも通じる現状と今後の需要予測を整理した。

働き方 調査・統計
出典:ScreenSkills
出典:ScreenSkills

ScreenSkillsとChannel 4の人材育成部門4Skillsが、Ampere Analysisと組んで、英国の映画・テレビ制作人材に関する最新レポート「Sizing Up the Future: Forecasting the Screen Workforce」を発表した。

このレポートが扱うのは、英国のオフスクリーン人材、つまり俳優などの出演者を除く制作スタッフだ。その規模や稼働状況を推計したうえで、2028年までの制作需要を予測している。対象は映画、テレビ、アニメーション、VFX、ポストプロダクション、制作管理、技術職、美術・クラフト職など幅広い。

英国の映像制作人材は、2025年時点で約24万4,500人~25万2,000人と見積もられている。ただ、制作活動そのものは2022年のピークから落ち込んでおり、2024年から2025年の稼働率は推定キャパシティの50~55%にとどまる。

ここでは、レポートの内容をもとに、英国映像制作産業の現状、稼働率が下がった背景、2028年までの見通し、そしてAIが制作業務に与える影響を整理していく。


労働力規模は2024年水準を維持も稼働率は半分程度に

2025年の英国のオフスクリーン制作スタッフ数は、24万4,500人~25万2,000人と推定されている。これは映画・テレビ制作にフルタイムまたはパートタイムで関わる人の総数で、フルタイム換算ではなく、実際に業界にいる人数をつかむための数字だ。

今回は前回調査よりも対象範囲が広がった。小規模なテレビ制作やアンスクリプテッド番組(台本なし番組)、さらにVFXやアニメーションの一時的な人材まで、より広くカバーしている。

部門別に見ると、制作管理、技術、クラフト、編集の4つで全体の6割以上を占める。2025年は技術職が前年比7%増、クラフト職が6%増、制作管理が6%増と伸びた。逆に企画開発は7%減っている。

制作カテゴリー別では、雇用への寄与度が高いのはアンスクリプテッドTV、大規模映画、大規模TVだ。とくにアンスクリプテッドTVは、1作品あたりの制作チームこそ小さめだが、本数が多いぶん全体としては大きな雇用を支えている。

人材の規模は保たれている一方で、稼働率のほうは低い。

2024年から2025年にかけての英国制作人材の稼働率は、推定キャパシティの50~55%。今の人材数がこなせるはずの制作量に対して、実際の制作活動はその半分ほどにとどまっている。前回のパイロット調査では2022年の稼働率が80~90%と推定されていたので、そこからの落ち込みは大きい。

部門別では、VFXとポストプロダクションの低下がとくに目立つ。編集、企画開発、ライティングも2023年から2025年にかけて下がっている。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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