日本アニメの人気が海外で高まっている。その制作を支える資金は、日本の映像業界で長年主流となっている製作委員会方式によるものだ。
しかし、近年製作委員会とは異なる形での資金調達方法として、コンテンツファンドが注目を集め始めている。
元東映の紀伊宗之氏が立ち上げたK2 Picturesでは映画ファンド「K2P Film FundⅠ」を立ち上げ、多くの金融機関や機関投資家から資金を調達している。また、三菱UFJ銀行が講談社とともに映画ファンドを立ち上げるという報道もあった。
そして、みずほ証券と株式会社クエストリーは、アニメ専門ファンドの立ち上げに動いている。今、なぜファンドが日本の映像産業に求められているのか、また金融業界も、なぜ今エンターテインメントに注目するのか、みずほ証券の富張周一郎氏とクエストリーの伊部智信氏に話を聞いた。
なぜ再びエンタメファンドなのか
――アニメ専門のファンドを立ち上げる動機はどこにあったのですか。
伊部:私は元々、ゴールドマンサックスで11年間、債券や外国為替といった金融商品を売る仕事をしていたのですが、エンターテインメントやコンテンツを裏付け資産とした金融商品はないのかと調べたことがあったんです。その時、海外には映画ファンドなどが結構あるらしいということがわかってきて、じゃあ日本にはどうしてそういう金融商品がないのかと疑問に思ったのがきっかけです。
紆余曲折あって独立し、「音楽著作権を絡めた金融商品を作りませんか」と富張さんに相談に行ったのが3年前くらい。そこから業界関係者の方ともたくさんお会いして、一番世界的に投資需要があるのはアニメで、それにも関わらず制作現場にはお金が足りないという話も聞こえてきました。ということは、お金を出したい人がいて、お金を欲しい人もいるのに、そこが繋がっていないんだと思い、アニメのファンドを立ち上げようと思ったんです。

――確かに、日本のエンタメ産業ではファンドの活用は多くありません。一方、アメリカや韓国では主流の資金調達方法となっていますね。これは、なぜそうなっているのか、根本的な要因はどこにあるとお考えですか。
伊部:ご存知の方もいると思いますが、2000年代に日本のコンテンツ産業でも一時期ファンドが盛り上がりましたが、リーマンショックなど様々な影響もあって定着しませんでした。
当時を知る方に話を伺ってみると、富士銀行やJDC信託などが、志を持って様々な試みに挑んでいたようですが、結果が出ずネガティブな印象だけが残り、また残念なことにそのチャレンジがその後に活かされていません。
少なくともアメリカでも韓国でも、最初にこうした試みを始めた時はみんな半信半疑だったはずで、上手くいきはじめてから定着したのだと思います。今日本では、最初の試みの段階にあるんだと思います。
――2000年代のファンドはアニメでは「バジリスク匿名組合」などがありましたが長く続きませんでした。お二人の構想では持続的な仕組みはすでにできているのですか。
伊部:そうですね。今主流の製作委員会方式は、何らかの役割を持っていないと入れないように運営されることが基本ですが、投資家は役割を持たず、リターンだけ欲しいわけです。そういう金融のプレイヤーが入りやすい仕組みにしようと思っています。
富張:例えば不動産などと異なり、エンタメの場合は安定的に利益が入ってくるわけではないという点に、事業としての難しさがあります。また、事業者は、事業出資に対する配当の他、その手前の関与する業務に対して支払われる窓口手数料を得ている。プレイヤー自身が事業参加を含めて採算を意識しているのが製作委員会なので、純粋にお金だけ出す人にとって参入しにくい構造になっています。






