118名に聞いた、映画業界を辞めた理由 約8割が長時間労働や収入への不満という結果に

子どもを育てながら働ける映画業界を目指す、NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)が、映画業界に勤めていた118名を対象に「なぜやめたか」の理由を尋ねるアンケートを実施した。

働き方 調査・統計
NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)[映像業界]なぜやめた?アンケート調査
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子どもを育てながら働ける映画業界を目指す、NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)が、映画業界に勤めていた118名を対象に「なぜやめたか」の理由を尋ねるアンケートを実施した。

映画、ドラマ、TV番組全般に携わる仕事をしていた方の中から、 今は辞めている方、 1年以上のブランクを経て復帰した方を対象とし、「なぜやめたか」の理由を尋ねるアンケート調査を実施し、 118名の回答を集計した。

回答者の性別は、女性が73.7%と圧倒的割合を占めており、男性が25.4%、その他が0.8%となっている。仕事を辞めた年齢は、20代が56.8%、次に30代が32.2%と、若い世代が次々に辞めてしまう現状が読み取れる。

辞めた理由としては、複数回答で「長時間労働・休みがない」と回答した人が最も多く、52人となっている。二番目に多かったのは「将来に不安を感じた」と答えた人で46人。次いで「収入への不満」「パワハラ・モラハラ」などの回答が集まった。

その中で、「最も強い理由は何か」という質問に対し、一番多かったのは「パワハラ・モラハラ」の14人だった。僅差だったのは、「長時間労働・休みがない」の13人。どちらも大きな課題であると言える。

性別ごとに辞めた理由を見てみると、最も多い「パワハラ・モラハラ」は男女で大きな差はないが、「妊娠・出産」「育児」で計20名の女性が一番の理由として挙げている。この結果から、出産から子育てに対する認識を、業界全体で変えていく余地はまだあると考えられる。

また、「やめる時やめたくない気持ちはあったか」という質問に対して、40.7%が「はい」と答えており、映画業界で働きたい気持ちはあるものの、労働条件やハラスメントを理由に去ってしまう人が多いことがわかった。

アンケートの自由記述欄から、実際の声も届いている。

  • 命より予算が大事と感じる現場は、もう嫌です。睡眠不足での長時間運転。速度超過違反しないと辿り着けないスケジュールなど作品の高いクオリティを目指す事と、限られた予算内で収めるため の仕事量の狭間で気が滅入ります。

  • 朝4時局入りなど、非常識な時間から子供の預け先を利用したい形になる為、働きにくい。また、終わり時間が読めない。

  • 徹夜での撮影に耐えられず途中で倒れてしまい断念しました...未だに引きずっていて、映像の仕事に復帰はしていますが撮影部での復帰は諦めてしまいました。撮影部を辞めたのは15年前くらいです。 労働時間が守られていて相談できる人がいたら、続けていたと思います。また、セクハラやモラハラのような事もあり、男性社会だったので先輩たちや師匠にあたる人からナンパされたり...変に女性として扱われていたことも現場を離れる後押しになり、身近に相談できる女性がいたら人生が変わっていたと思います。

調査結果から、 多くの方が「長時間労働・休みがない」「パワハラ・モラハラ」などを一番の理由として挙げていることがわかった。 持続可能な産業にしていくため、 制作現場の労働環境について考えていかなければならない。

映画業界で働く女性を守る会(swfi)は、本調査の結果を踏まえ、11月4日(金)に[映像業界]なぜやめた?アンケート調査結果報告書およびそれを踏まえた要望書を、文化庁、厚生労働省、内閣府、総務省、法務省、経済産業省、中小企業庁へ提出。持続的に働いていける環境にするために文化庁、厚生労働省の担当者との意見交換を行った。

調査報告書はこちらから閲覧ができる。

調査実施の背景

昨今の映像業界では、新人が入って来ない、すぐやめてしまう、などの人手不足が問題となっています。
去る者は追わず、という言葉がありますが、やめる選択をせざるを得なかった人が、どんな理由でやめていったのかを考えることで、見えてくる事があるのではないかと私達は考えました。
現役で働いている方の声を集めて現状を改善していくことはもちろん大事ですが、やめた方が、どういった理由でやめたのか、その結果を可視化することにより、業界の問題点をより幅広く把握し、改善につなげていく事で働きたいと思ってもらえる、持続可能な業界になるはずです。

映像業界で働く我々が意識して改善していける部分を考えるため、また、フリーランス、正社員等業務形態にかかわらず業界で働く人に対して適切な制度や支援策などが設けられるよう関係省庁に訴えるため、参考資料として公開させていただく運びとなりました。


調査概要

アンケート主催団体:NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi)
調査タイトル:[映像業界]なぜやめた?アンケート調査
調査対象:「映画、ドラマ、TV番組全般」に携わる仕事をしていた方(スタッフ、出演者)で、業界を既にやめた方、またはなんらかの理由で1年以上のブランクを経て復帰した方。年齢、ジェンダー問わず。
調査手法:インターネット調査(Googleフォーム)
調査期間:2022年5月14日~5月28日
設問数:全18問 回答時間平均5~7分
回答数:118名

<NPO法人映画業界で働く女性を守る会(swfi) [映像業界]なぜやめた?アンケート調査>

《Branc編集部》

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