映画振興委員会(KOFIC)は、「2025年 映画労働者標準報酬指針研究」の報告書(KOFIC研究 2025-07)を発表した。本報告書は、韓国映画産業で働くスタッフの賃金構造、労働時間の実態、そして今後の処遇改善に向けた「標準報酬指針」導入案に関する詳細な分析結果をまとめたもの。
本報告書は、56作品・2,016人のスタッフの給与データを基にしており、映画スタッフが直面する経済的困難や労働環境の問題点を浮き彫りにしている。本記事では、同報告書に基づき、賃金構造の変化、長時間労働の実態、他国との比較、そして標準報酬指針導入に向けた具体的な提案とロードマップについて詳述する。
給与は微増も物価高で実質賃金低下
報告書によると、2024年の映画スタッフの賃金状況は、いくつかの深刻な課題を抱えている。時間給自体は2021年と比較して上昇したものの、平均勤務期間の短縮(2021年 5.04ヶ月 → 2024年 4.65ヶ月)や労働時間の減少により、月給与額は2021年比で97.0%~100.1%、給与総額も99.2%となり、実質的に停滞または減少していることが明らかになった。近年の物価上昇率(2021-2023年累計 11.6%)を考慮すると、映画スタッフの実質賃金は低下しており、生活水準が悪化している可能性が高い。

