作業時間75%削減の衝撃。日立システムズのソリューションが「製作委員会」方式のロイヤリティ管理を劇的に効率化

日本のIPビジネスを支える「製作委員会」システム。しかし、その権利管理は複雑で作業量が日々増大し、現場を圧迫している。日立システムズの「ロイヤリティ契約管理支援システム」は、煩雑な収益分配の計算・報告を自動化し、現場の負担を劇的に削減。基幹産業たるIP産業を陰から支える存在だ。

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左から:産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第三システム部長 山田浩貴氏、同事業部 第一グループ技師 八木彩人氏、同事業部 第一グループ 宮後亜衣氏、産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ 須貝玲哉氏
左から:産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第三システム部長 山田浩貴氏、同事業部 第一グループ技師 八木彩人氏、同事業部 第一グループ 宮後亜衣氏、産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ 須貝玲哉氏
  • 左から:産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第三システム部長 山田浩貴氏、同事業部 第一グループ技師 八木彩人氏、同事業部 第一グループ 宮後亜衣氏、産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ 須貝玲哉氏
  • 宮後亜衣氏
  • 左から:山田浩貴氏、須貝玲哉氏
  • 左から:山田浩貴氏、須貝玲哉氏
  • 八木彩人氏

今や日本の基幹産業と位置づけられるコンテンツ産業。その目覚ましい発展を支えているのが、IP(知的財産)ビジネスだ。クリエイターたちの情熱と努力から日々生み出される独創的な作品は、国境を越えて世界中の人々を魅了し続けている。

しかしその裏側では、作品数の増加や契約形態の複雑化に伴い、権利を管理する現場の負担が増大している。とりわけ、複数の企業が出資する日本独自の「製作委員会」方式は、収益分配の計算が煩雑になりがちで、「権利管理業務の膨大さから、これ以上作品数を増やせない」という声があがるほど深刻な課題となっている。

この根深い課題に対し、これまでもコンテンツ業界のDX支援サービスなどを提供してきた日立システムズが解決策として提供するのが「ロイヤリティ契約管理支援システム」だ。製作委員会方式のロイヤリティ管理に特化した本システムは、現場の作業を劇的に効率化できるという。同システムを開発したチームにその詳細を伺った。

左から:産業・流通情報サービス第三事業部 サービス第二本部 第三システム部長 山田浩貴氏、同事業部 第一グループ技師 八木彩人氏、同事業部 第一グループ 宮後亜衣氏、産業・流通営業統括本部 第四営業本部 第一営業部 第一グループ 須貝玲哉氏
手作業からの脱却で効率化を
ロイヤリティ契約管理支援システム

IP市場の伸びにライセンス管理の現場が追いついていない

――貴社がロイヤリティ契約管理支援システムを提供するに至った経緯をお聞かせ下さい。

須貝:当社の市場調査で、IP・エンターテインメント市場が伸びていると同時に、契約やロイヤリティ計算、ライセンス管理といった点で、システム化できていない企業が多いことが分かってきました。そこを我々の技術力で支援することができるのではと考え、サービス化に踏み切りました。

――本システムは、具体的にどのようなものでしょうか。

須貝:IPビジネスにおいては、ライセンス許諾が必ず発生します。製作委員会による利益の配分業務は、一般的な二社間におけるライセンス契約と比べて、報告先が非常に多いので、複雑なロイヤリティ計算が必要です。本システムは、その複雑な計算を一元管理し、報告まで自動化するツールです。

――本システムについて相談に来られる企業は、どんな課題を抱えていることが多いでしょうか。

須貝:大きく3点あります。1点目は事業成長にともなう、ライセンス業務の増大による人手不足です。作品を製作するごとに報告する内容もどんどん積みあがりますから、作業量も増えていきます。現場が回らなくなっているので、なんとかしたいとお話しされる方もいらっしゃるほどです。

2点目は企業コンプライアンスに関するものです。表計算ソフトで管理している企業もまだ多く、そうするとログも取れず、報告内容と計算が合っているかを確認するのも大変な作業なんです。そこで、操作ログを残せるようにし、権限設定も適正化することでコンプライアンスを順守できる状態にしたいというご相談を受けます。

――表計算ソフトで膨大な情報を管理していると、担当者にしか分からない状態になり、作業が属人化してしまいますね。

須貝:はい。まさに属人化が3点目の課題です。たとえば、表計算ソフトでは担当者のローカル環境でしか契約の管理状況や計算内容が分からずブラックボックス化してしまうことがあります。もし、その方が転職した場合、事業の引き継ぎも難しいということもあり得ます。

山田:近年は、IPビジネスに異業種から参入してくる会社も増えています。そうした時に何かツールが必要だと、ご相談に来られるケースも目立ってきています。

――新規にIPビジネスに参入される企業なら、なおさら製作委員会の複雑さに慣れていませんし、ライセンス管理のノウハウも持っていないことが多いですね。

山田:そうですね。先ほどの属人化にも通じる話ですが、内部に製作委員会のライセンス管理に詳しい人が必ずいるとは限りませんから、当社のツールは力になれるはずです。

煩雑な製作委員会のライセンス業務を自動化

――本システムの特長について詳しく教えていただけますか。

須貝:本システムは、サーバーインストール型なので、各クライアントからアクセス可能です。契約内容の管理についても、それぞれ、計算に必要な条件を登録する窓が設けられており、そのガイドに沿って必要な情報を入力するだけで、ロイヤリティの計算ができる仕組みになっています。次のステップに進むために上長の承認を必要とする設定も可能で、企業全体でロイヤリティ管理を可能にします。

――製作委員会は作品ごとにロイヤリティ契約が異なりますが、それぞれの料率を設定しておけば、あとは自動計算してくれるわけですね。

宮後:はい。放映権やビデオグラム化権などの権利を処理する項目の種類や窓口手数料もマスター化でき、お客さまの業態に応じて名称なども変更可能です。権利分配率の設定や計算式も自由に設定可能なので、汎用的にご利用いただけます。契約期間も設定可能で、対象年月を設定して計算ボタンをクリックすれば、その期間のデータのみを抽出して報告分を自動計算してくれます。

須貝:契約内容をデータベースで検索することもできます。たとえば、あるアニメーションのグッズを制作することになった場合、その窓口会社が何%のロイヤリティで契約したかをすぐに調べられます。製作委員会で確保した売り上げから、原作者や脚本家などへの料率も、手数料の控除も含めてシステムで自動計算します。

――分配率に加えて、手数料控除まですべてを表計算ソフトで計算すると、膨大な作業ですね。実際、貴社のシステムを導入された企業では、どのくらい作業時間が短縮できているのでしょうか。

八木:ある企業は、これまでデータベース管理ソフトで管理されており、何度も増築を重ねた結果、同じような項目を別の画面でも登録する必要が生じ、自動計算できない箇所もあり、大幅な確認業務が発生していました。そこで当社のシステムで一連の流れをすべて自動化、登録時も既存のフォーマットをそのまま画像として直接取り入れる方式にして手打ち入力も省略、最終的に吐き出された内容が正しいかのチェックだけすればいい状態となった結果、75%も作業時間を削減できたと聞いています。

――人力によるチェック項目が減れば、効率のみならずヒューマンエラーの可能性も下げることができますね。

八木:そうですね。チェックするのは最初と最後だけですからエラー率も減ります。本システムの入力画面はシンプルで分かりやすいという声をいただいていますし、これまでの帳簿フォーマットを継続して使えるようカスタマイズしたことも大きかったようです。

――本システムはカスタマイズ性も高いのですね。

須貝:ロイヤリティ契約管理支援システムは自社で開発したパッケージですから柔軟に対応できます。当社の開発部隊はビジネスの現場の事情にも精通しているので、さまざまなお悩みに対応できます。

山田:たとえば、社内用の資料を作りたい時のため、必要なデータを抜き出すボタンを追加できます。その他、よくいただくご要望は、各出資会社への報告の自動化です。システムで作成した報告書を自動的に各会社の窓口に送ったり、幹事会社が報告用のサイトを立ちあげて、各窓口の担当者がレポートを取りに行けるようにするなどの事例は多いですね。導入されたお客さまの数もかなり増えてきました。我々もいろいろな考え方をお聞きする機会に恵まれましたから、これまでの経験を元に柔軟なシステム導入に導ける人財が揃っています。

――近年では、アニメは海外展開が前提となっていますが、海外対応も可能ですか。

須貝:現在では海外対応は必須ですからデフォルト機能です。通貨レートマスターを設定しておくことで外貨計算も自動で行い、外貨建ての報告にも対応しています。

バックオフィスのDXが、IPビジネスの未来を切り拓く

――アニメ会社では、ライセンス業務の人員が足りないという話をよく聞きます。本システムは本当に助けになりそうですね。

山田:元々、当社のシステムを導入していた企業のライセンス担当の方が別の会社に転職して、またお声がけ下さることも多いです。バックオフィスを担える人材はそれほど多くなく、各企業で取り合いになっていると最近感じますが、そのなかで新会社でも本システムを導入していただけるのは、それだけ満足度が高いことの表れだと考えております。

――こうしたバックオフィスの改善はエンターテインメント企業にとってどんなメリットがあると貴社ではお考えですか。

八木:当社に相談に来られる企業から、今の体制では業務拡大は困難と上申したという話を聞くこともあります。そうした現状に対して、バックオフィスの効率化で作業量を削減することが業務の拡大につながるとお話しています。(バックオフィスの改善は)結果として、会社の成長につながるはずです。

――IPを増やして会社を成長させたいと思っても、現場の管理が追いつかないので増やせないこともあるわけですね。

八木:そうですね。ですので、これは会社の成長を支える基幹システムと考えていただければと思います。

須貝:クリエイティブな作品を生み出すところを直接業務だとすると、バックオフィスは間接業務です。やはりエンターテインメント企業にとっての競争力は、直接業務に当てられる時間やリソースにかかっていると思うんです。直接業務の時間を増やすためにも間接業務はできる限り効率化して削減していくべきでしょうし、だからこそバックオフィスの改善が成長につながると考えています。

――日本政府がコンテンツ産業を国の基幹産業に位置付けるなど、業界外からも成長の期待が大きいですが、今後の発展のためにはバックオフィスの改善も欠かせないわけですね。

山田:そうですね。日本のIPビジネスは世界に誇れる数少ない分野です。日々、新たなIPが生まれて、企業も新規参入も増えていますが、製作委員会は、ジョイントベンチャーのようなもので、リスクヘッジの仕組みでもありますから、今後も残っていくと思います。そのなかで、我々としては最低限のコストで導入可能なシステムを提供することで、この業界のさらなる発展に貢献したいと思っています。

実際、当社のメンバーはアニメやゲームが好きで、エンターテインメント業界の力になりたくて別部署から異動願いを出してきたような人財もいるんです。強い想いで業界に貢献したいと思って日々、さまざまなご提案をさせていただいております。

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《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。