SAG-AFTRA、ストリーミング成功ボーナス基金を設立 ─ 2023年ストライキの歴史的成果が具現化、スタントやエキストラも報酬分配の対象に

SAG-AFTRAはストリーミング成功ボーナス基金を設立し、対象作品に深く関わったスタンドイン(代役)、スタントリガー、背景俳優(エキストラ)もボーナスの支払い対象に含まれることになった。

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SAG-AFTRA、フラン・ドレシャー氏(左)とダンカン・クラブツリー=アイルランド氏(右)
Photo by Frazer Harrison/Getty Images SAG-AFTRA、フラン・ドレシャー氏(左)とダンカン・クラブツリー=アイルランド氏(右)

米俳優組合(SAG-AFTRA)は2025年9月12日、ストリーミング配信作品の成功に応じて出演俳優にボーナスを分配する「SAG-AFTRA・プロデューサー成功ボーナス分配基金」を正式に設立したと発表した。フラン・ドレシャー会長が「ロビンフッド基金」と呼んだこの構想は、2023年にハリウッドを揺るがした歴史的なストライキの大きな成果として掲げられてから約2年の準備期間を経て、具体的な制度として動き出す。これは、作品の成功がこれまで直接的な報酬に結びつきにくかったストリーミング時代の俳優にとって、史上初となる二次的な収入源を確保するものとなる。

この基金は、ドレシャー会長の強力なリーダーシップの下、2023年のTV・劇場・ストリーミング契約交渉で獲得された中心的な成果の一つである。これまで、主要キャストには成功の度合いに応じたボーナスが支払われる仕組みが導入されていたが、今回の基金はそれをさらに拡大し、より広範な出演者に利益を還元することを目的としている。

基金は組合と使用者側(プロデューサー)が共同で管理し、分配方法の要点についても理事会で承認された。対象となるのは、2024年1月1日以降に初めて配信され、かつ理事会が定める基準を満たした高予算のSVOD(定額制動画配信)向け作品となる。資格や分配時期に関する詳細な規定は、今後数週間以内に発表される予定とのことだ。



《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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