東宝、2025年3月の興行収入は約79億円 前年比61.1% 『ヒプマイ』や『ドラえもん』などが稼働

東宝は2025年3月の興行収入が約79億円で前年比61.1%と発表。多彩なラインナップがあったがサプライズヒットがなく、全体的には前年より減少傾向にある。

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東宝、2025年3月の興行収入は約79億円 前年比61.1% 『ヒプマイ』や『ドラえもん』などが稼働
東宝、2025年3月の興行収入は約79億円 前年比61.1% 『ヒプマイ』や『ドラえもん』などが稼働

東宝株式会社は2025年4月9日、2025年3月における映画営業部門の興行成績速報を発表した。それによると、同月の興行収入は79億1,262万9,906円となり、前年同月比で61.1%となった。また、1月から3月までの累計興行収入は222億3,875万514円で、前年同期比は78.6%であった。


 

「ドラえもん」「ヒプマイ」など多彩なラインナップが並ぶ

3月に東宝が配給を担当した主な作品は、「怪獣8号 第1期総集編/同時上映『保科の休日』」「少年と犬」「ZEROBASEONE THE FIRST TOUR [TIMELESS WORLD] IN CINEMAS」「うたの☆プリンスさまっ♪ ALL STAR STAGE -Dramatic Magical Story- LV」「舞台『刀剣乱舞』十口伝 あまねく刻の遥かへ LV」「映画しまじろう『しまじろうと ゆうきのうた』」「お嬢と番犬くん」「ヒプノシスマイク Division Rap Battle」など、多彩なラインナップが揃った。

特にファミリー層やアニメファンに人気の高い「ドラえもん のび太の絵世界物語」や、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版」「イノセンス 4Kリマスター版」など、名作アニメのリマスター上映も注目を集めた。さらに、「劇場版『トリリオンゲーム』」や「映画『グランメゾン・パリ』」といったドラマ原作作品の映画化も、話題作として動員に貢献したとみられる。

2025年の月別興行収入をみると、1月が78億5,346万4,248円(前年比126.4%)、2月が64億7,265万6,360円(前年比70.8%)、3月が今回発表された79億1,262万9,906円(前年比61.1%)であり、第1四半期累計は前年比でおよそ8割弱の水準にとどまっている。


前年のようなサプライズヒットの不在

なお、前年度2024年の第1四半期(1月~3月)の興行収入はそれぞれ62億1,165万7,920円、91億3,767万2,487円、129億4,883万158円と推移しており、今年の成績はそれに比べると落ち込みが顕著である。

昨年3月には、2月公開の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』と3月15日公開の『変な家』のサプライズヒットがあった。今回の前年割れはその影響と見られる。

興行収入の推移を振り返ると、2023年から2024年にかけては順調に回復基調にあったが、2025年は現時点では減少傾向に転じている。これは大作・話題作の不足、観客動員の分散、あるいは物価高の影響など複合的な要因によるものと見られる。

今後の展開としては、ゴールデンウィークや夏休みシーズンに向けた大型作品の公開が、年間成績の持ち直しに寄与するか注目される。劇場版『名探偵コナン隻眼の残像(フラッシュバック)』に期待がかかる。

《杉本穂高》

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杉本穂高

映画ライター 杉本穂高

映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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