Varietyが発表したデジタル市場分析会社Comstoreの統計によると、2024年の北米総興行収入は収益が113億ドルだったコロナ禍以前の2019年からは23.5%も減少した。2024年の劇場入場者数は約8億人に達すると推定され、こちらの数字もコロナ禍前の約13億人から大きく減少している。
2024年における興収の大きな落ち込みは、2023年にハリウッドで起きた全米映画脚本家組合と全米映画俳優組合のダブルストライキにより、2024年に予定していた映画の公開が延期になり、2024年の最初の5か月が低調であったことが主な原因だとされている。
Forbesによると、2024年の北米興行収入トップ10のうち9本が続編で、唯一の例外はミュージカル映画『ウィキッド ふたりの魔女』だった。2023年と比較すると、トップ3にランクインした『バービー』と『オッペンハイマー』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は既存作品を基にした映画ではない。映画スタジオ別では、ディズニーがナンバーワンに
総興行収入トップ10にランクインした2024年の作品を映画スタジオ別に見ると、ナンバーワンに輝いたのはディズニーで、トップ4のうち『インサイド・ヘッド2』と『デッドプール&ウルヴァリン』、『モアナと伝説の海2』が占めた。コロナ禍の2020年以降、ディズニーは興行収入20億ドルという大台を超えた唯一のスタジオだ。
ユニバーサルは、『怪盗グルーのミニオン超変身』と『ウィキッド ふたりの魔女』、『ツイスターズ』に支えられ、北米では2023年から3%減の18億9,000万ドル、全世界興行収入は37億5,000万ドルとなり、市場シェアで2位に。
ワーナー・ブラザースは、『デューン 砂の惑星 II』と『ゴジラxコング 新たなる帝国』は大ヒットしたが、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』と『Horizon: An American Saga – Chapter 1(原題)』が不振で、前年比17%減の11億6,400万ドルで3位となった。
ソニー・ピクチャーズは、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』と『バッドボーイズ RIDE OR DIE』、『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』のヒットで、北米では10億700万ドル、世界では24億ドルで4位に。2023年の数字と、ほぼ同額だった。一方、『ザ・グラディエーターII ローマ帝国への逆襲』と『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』がヒットしたパラマウント・ピクチャーズは、北米興行収入が8億7,950万ドルでトップ5入りを果たし、昨年比5%増となった。
映画コンサルティング会社Franchise Entertainment Researchを率いるデヴィッド・A・グロス氏は、「ファミリー映画にとっては素晴らしい年で、世界興行収入の王者になりました」とコメント。「特に好調だった2023年の後では、新作のオリジナルストーリーは低調な一年となりました。興味深い作り手による面白い物語もありましたが、観客の心には響きませんでした」と語った。
2025年はダブルストライキのダメージから完全に復活し、映画業界が活気を取り戻す1年になるかどうか注視していきたい。