東京国際映画祭併設のマーケット「TIFFCOM 2024」にて、「持続可能な成功の道:中国の急成長市場における知的財産とコンテンツ戦略」と題したセミナーが開催。
『すずめの戸締まり』や『THE FIRST SLAM DUNK』などの中国での宣伝配給を手掛けたRoad PicturesのCEO・蔡公明(ツァイ・ゴンミン)氏が登壇。同社のIP戦略について語った。
同社は昨年、二次元コンテンツのIPを統合的に活用する新会社GuGuGuGuを設立。それから1年で直営店舗を複数出展、映画館とも提携し、アニメグッズ販売の販路を拡大。さらに、展示会やコラボカフェなど、アニメのオフライン体験を促進する事業を積極的に展開している。本セミナーでは、その具体的な事業の内容が紹介された。
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映画館にグッズショップ展開、オフライン体験を強化
Road Picturesは、2014年に設立され、多くの映画作品を配給してきたが、2021年に配給を手掛けたアニメ映画『HELLO WORLD』がヒットしたことをきっかけに、日本のアニメに注力するようになった。『すずめの戸締まり』や『THE FIRST SLAM DUNK』の他、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』や『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』など、近年中国で大ヒットした日本アニメの多くの宣伝配給に関わっている。また、アニメのみならず、『万引き家族』など実写映画も積極的に配給している。また、今年は『君の名は。』再上映も手掛けた。創業10年での累計興行収入は4,000億円になるそうで、中国市場最大の日本映画の配給会社の地位を確立している。
同社は昨年、アニメなどの二次元コンテンツのIPを統合的に活用する新会社「GuGuGuGu」を設立。映画配給だけでなく、商品化やコラボイベント展開など、多方面に事業を広げた。蔡氏は、「単なる配給会社ではなく、作品の価値を切り開き、IPを最大化させる」ことを目標に新会社を展開しているという。
新会社の元、1年で中国内に6つの店舗をオープン、30の映画館でグッズショップを展開するようになった。さらにコラボカフェや展示会などのオフライン体験も強化している。
この事業展開は、「IPの長期的展開」のために重要だという。中国のファンは映画を鑑賞するだけではなく、グッズ購入やイベント体験などを通して、作品を祝福したいと考えており、そういうニーズに答えていきたいと考えているそうだ。グッズ展開にはかなり力を入れており、1年で67作品、約2,600点(SKU単位)の商品を開発した。EC販売も積極的に展開しているが、オフラインでの体験を重視しており、今年中には10店舗、提携劇場は40まで拡大する予定とのこと。
中国の映画館はまだまだ増える
続いて、中国映画市場の概況が説明された。