Netflixの業績が堅調に推移している。
2024年3Q(2024年7月1日~2024年9月30日)の売上高は前年同期間比15.0%増の98億2,400万ドル、営業利益は同51.8%増の29億900万ドル。2桁増収、大幅な営業増益となっている。営業利益率は29.6%で、前年同期間よりも7.2%高い。
Netflixはコロナ特需からの反動を受けて会員数の減少が続き、業績は一時停滞していた。息を吹き返した格好だが会員数が再び伸び悩む兆しが見えており、2025年からは新たな局面に入るといえそうだ。
インフレのタイミングで格安プランを設けた先見性
2024年に入ってからの業績拡大が目覚ましい。2024年3Qまでの累計(2024年1月1日~2024年9月30日)売上高は前年同期間比15.5%増の287億5,400万ドル、営業利益は同49.2%増の81億4,400万ドルだった。営業利益率は28.3%。6.4ポイント高まっている。3四半期連続で15%の売上増、営業利益はおよそ1.5倍のペースで拡大し続けたことになる。
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※Financial Statementsより筆者作成
Netflixのこれまでの動きを振り返ろう。
業績が軟調になったのは2022年上半期だ。2四半期連続で、主力エリアである米国とヨーロッパの課金会員数が純減となった。2020年から2021年にかけてコロナ禍による自宅時間を有効に過ごすための動画配信サービス特需が起こったが、2022年に入ってその反動に見舞われたのだ。
動画配信は、消費者の可処分時間の取り合い(余暇時間の奪い合い)のサービスの一つに位置づけることができる。消費者が日常生活を取り戻し、映画館での映画鑑賞や外出先でのモバイルゲーム、ショッピングなどに時間を使うようになると、Netflixを解約するユーザーも出てくるはずだ。それに加えて、動画配信は有望な市場であるために、競合サービスとの激しい顧客獲得合戦が起こっている。
そこで、Netflixは2022年11月より広告付きのプランを設けた。値段が安い広告付きプランで会員数が急増したのがヨーロッパだ。2022年4Q(2022年10月1日~2022年12月31日)の課金会員数は前四半期の5.6倍にあたる300万人の純増となった。
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※Financial Statementsより筆者作成
このころ、ヨーロッパはとんでもないインフレに見舞われていた。ウクライナ危機によってロシア産の天然ガスが使えなくなったことが背景にあり、イタリアの電気代は3倍になったとも言われている。消費者は割安のプランを待ち望んでいたのだ。ここへNetflixの広告付きプランの開始は絶妙なタイミングだったと言える。なお、2022年4Qの課金会員は、米国でも90万人の純増となって前四半期のおよそ9倍に膨らんだ。