【レポート】スポーツVODは「個別契約」から「統合バンドル」の時代へ。ユーザーの“サブスク疲れ”が映し出す、新たな市場秩序と勝者の条件

決済プラットフォームを提供するBango社による最新の調査では、スポーツVOD市場はコンテンツ断片化と高コストの不満から、統合バンドルサービスの導入を期待する声が高まっているという。

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【レポート】スポーツVODは「個別契約」から「統合バンドル」の時代へ。ユーザーの“サブスク疲れ”が映し出す、新たな市場秩序と勝者の条件
Photo by Gregory Shamus/Getty Images 【レポート】スポーツVODは「個別契約」から「統合バンドル」の時代へ。ユーザーの“サブスク疲れ”が映し出す、新たな市場秩序と勝者の条件

決済プラットフォームを提供するBango社が発表した最新の調査レポートにより、米国のスポーツVOD(SportsVOD)市場における深刻な「フラグメンテーション(断片化)」と、それに伴うユーザーの不満が浮き彫りとなった。この調査は、2,000人以上のSportsVOD利用者を対象に行われた。

レポートによると、平均的なスポーツファンは観たい試合やイベントをすべて視聴するために、7つもの異なるサブスクリプションサービスを契約している。これは米国のサブスクリプション利用者全体の平均である5つを大幅に上回る数字だ。この契約数の多さは、放映権が複雑に分散しているスポーツコンテンツ特有の事情を反映しているという。

その結果、利用者の月額負担額は平均で120ドルに達しており、これは米国の一般的な利用者の平均支払額77ドルと比較して66%も高い水準だ。実際、スポーツVOD利用者の半数以上(54%)が「希望する全てのサブスクリプション料を支払う余裕がない」と回答しており、高額なコストが大きな負担となっていることがわかる。

さらに、利用者の73%が「サブスクリプションサービスが多すぎる」と感じ、55%が「すべての契約を一つの場所で管理できるハブがない」ことに不満を抱いている。このような管理の煩雑さとコスト高が、ユーザー体験を著しく低下させている現状が明らかになった。



《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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