U-NEXT HOLDINGSが、8期連続の過去最高業績を達成した。
成長スピードと規模において、他の事業の追随を許さないのがコンテンツ配信事業だ。今やU-NEXT HOLDINGSの主力サービスとなった、動画配信サービスのU-NEXTである。2024年8月期(2023年9月1日~2024年8月31日)は、売上高が1,000億円を突破。会社予想を上回る増収となっている。
エンタメ業界向けのマーケティングサービスを提供するGEM Partnersによると、U-NEXTのシェアはNetflixに次いで国内2位。ユーザーのニーズに沿った投資を続けるU-NEXTが、王者Netflixをも猛追している。
U-NEXTの利益率の低下を他の事業で補完できる強さが際立つ
U-NEXT HOLDINGSの2024年8月期の売上高は前期比18.2%増の3,267億円、営業利益は同35.0%増の291億円だった。今年4月に通期業績予想の上方修正を発表し、売上高を従来予想の5.3%、営業利益を同18.8%引き上げていた。売上高は修正した数字よりも100億円、営業利益は6億円ほど上振れて着地をしている。足元の好調ぶりがうかがえる内容だ。
2025年8月期は売上高を前期比10.2%増の3,600億円、営業利益は同6.5%増の310億円と予想している。計画通りに着地をすれば4期連続の2桁増収で、7期連続の増収営業増益となる。勢いが衰える様子はない。
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※決算短信より筆者作成
U-NEXT HOLDINGSの強さを見せつけているのが、営業利益率も高まっていることだ。これは複数展開する事業が補完しあうことで実現できている。
会社全体の増収に貢献しているのはコンテンツ配信事業だが、この事業はコンテンツを獲得するための原価が膨らんでおり、利益率そのものは低下ぎみだ。一方、2024年8月期の営業利益が前期の2.2倍に急拡大したのが業務用システム事業である。前期の31億円から70億円となった。業務用システム事業は、新紙幣発行に伴う自動精算機の入れ替え需要を獲得。大幅な増収増益となった。また、医療機関向けの機器販売も好調で、2024年8月期4Q単体(2024年6月1日~2024年8月31日)は四半期として最高の売上高、営業利益を更新している。
難局での業績の安定に寄与したU-NEXT
U-NEXT HOLDINGSは、大阪有線放送社が大元であり、飲食店などに向けた有線放送が事業基盤だった。もしこの事業だけを続けていたら、今の姿になっていなかったのは間違いない。
1998年に宇野康秀氏が代表に就任した後、法人向けブロードバンドサービスや、「完全無料パソコンテレビGyaO(ギャオ)」などの新しい事業を次々と始めた。宇野氏は営業力を磨いて法人の顧客開拓に成功した。有線放送という技術から、法人ネットワークへと強みが移行したのだ。このネットワークが後の業務用システムや、店舗サービスのPOSレジ導入などへと繋がって業績が拡大した経緯がある。しかし、「GYAO!」が失敗したように、BtoCのエンタメ事業を成功させることはできなかった。
それをU-NEXTが一変させたのである。BtoBとBtoCの両方で成功させた意味合いは大きい。それは奇しくもコロナ禍で証明された。飲食店が大打撃を受ける中で、消費者の巣ごもり特需が発生。動画配信サービスをはじめとしたデジタル産業が花開いたのだ。U-NEXT HOLDINGSは、両輪で難局を乗り切ることができた。