10月2日に第29回釜山国際映画祭が開幕した。夜には世界中から映画人たちが集まり、開幕式が行われた。
そして3日より、続々と映画の上映やイベントが本格的にスタート。日本からも数多くの作品が上映予定だが、本記事では3日に行われたNetflixシリーズ「さよならのつづき」と『劇映画 孤独のグルメ』のイベントレポートをお届けする。
Netflixシリーズ「さよならのつづき」
11月14日(木)よりNetflixにて世界配信されるドラマ「さよならのつづき」のワールドプレミア上映が、3日12:00より「映画の殿堂」のハヌルヨンシアターにて行われた。本作は本映画祭のOn Screen部門に選ばれている。
2話分の上映後にはQ&Aが行われ、黒崎博監督、俳優の坂口健太郎と有村架純が登壇。開幕式では黒のシックな装いが印象的だった有村と坂口だが、上映後の舞台挨拶では有村は白のワンピース、坂口は茶色のスーツを纏い、多くの観客の拍手に包まれて登場した。

本作は、結婚を誓い合ったさえ子(有村架純)と雄介(生田斗真)が雪道で事故に遭い、雄介が亡くなってしまうところから始まる。そしてその心臓は和正(坂口健太郎)に移植され、和正は妻のミキ(中村ゆり)との幸せな日々を取り戻すが、次第に雄介の記憶を思い出していく。さらにさえ子とも偶然の出会いを果たし、2人と彼らを取り巻く人々の運命が大きく動かされることになる。
監督は、「人を愛するとは何だろう?というシンプルな問いを答えられる人はこの中にいますか?」を観客席に問いかけ、制作を通して「この答えはきっと見つからないけど、探す旅をしていたような気がします」とコメント。イベント後半で実際に客席から「みなさんにとって愛とはなんですか?」という質問を受けた監督は、「自分の問いに自分で答えるって難しいですね……」と焦りを見せながらも「恐れ」だとし、「本当に誰かを好きになってしまった時に、その愛が自分自身を傷つけるんじゃないか、もしくは相手や違う誰かを立ち直れないくらい傷つけてしまうんじゃないか、そういう愛がドラマには溢れています」「この繊細な2人のキャラクターはどこかで人間を傷つけているんじゃないかと感じながら、恐れながら生きてるんじゃないかなと思いながら作っていました」と答えた。

有村は、愛とは「涙」と話し、「友達でも家族でも愛する人でも、想うからこそ嬉し涙を一緒に流したり、悲しい涙を流したり。自分の心が1mmでも動くものに対しては、愛が生まれている証なのかなと思います」とコメント。坂口は悩みながら「よく答えているのは“自己犠牲”」だと絞り出した。「自分じゃない人のために自分のことを犠牲にしてまで何かをしたくなって、初めて愛なのかなと思ってましたね」と答え、そのためには許容力も必要なのではないかと話した。

また、同日17:00より「映画の殿堂」の野外ステージでは20分間のグリーティングが行われた。