広告が嫌われない?コロナ禍以降も成長し続ける『ライブ配信メディアレポート』を読み解く

コンテンツは長尺化し、2020年から2024年現在にかけて3倍以上に成長しているライブ配信市場。レポートを読み解くと、同市場では広告が嫌われにくいのが特徴として挙げられている。

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ビデオリサーチ、ライブ配信メディアレポート
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テレビ番組の視聴率調査で知られるビデオリサーチは、配信技術研究所(配信技研)とGLOEとともに、若年層に人気のゲーム実況・VTuberのライブ配信などを対象にした市場動向調査レポートの無償提供を開始した。(配布ページ

近年、インターネットの動画コンテンツはTikTokなどに代表される縦型動画の影響も強く、短尺化の方向へと向かっているとよく言われる。だが、ライブ配信動画は逆に長尺化しており、テレビや映画といった伝統的コンテンツ並か、それよりも長いことさえある。さらに、この市場では広告が嫌われにくく、むしろ広告を出す企業は推しの配信者をサポートしてくれていると認識され、ブランドの好感度が上がることも珍しくないという。

このライブ配信市場はいかなる特性があり、今後の映像コンテンツ業界全体でどんな位置を占めることとなるのか考察してみたい。

コロナ禍以降も続くライブ配信の成長

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まず資料によると、国内のライブ配信市場は、2020年から2024年現在にかけて、3倍以上に成長しているとのこと。1日あたり4~5億分という視聴時間に達しており、これは全国の映画館の観客総滞在時間の10倍だそうだ。

コロナ禍の巣ごもり需要で伸長した面はあるものの、SNSなど他のネットサービスと異なる特筆すべき点として「コロナ禍」以降も成長し続けていることが挙げられている。

同資料は、ライブ配信はすでに独自の文化圏を形成しており、重要な立ち位置を占めているとしている。確かに映画館の総鑑賞時間をはるかに上回る視聴時間を獲得しているというのは大きなことで、成長性も含めるとその影響力は決して過小評価すべきではないだろう。

ライブ配信はコンテンツよりコミュニティ

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ライブ配信は、長時間視聴されるのが特徴だ。一日の平均視聴時間は、ゲーム実況コンテンツなどは100分近くに達するようで、ほとんど映画一本分の長さと変わらない。これはいわゆる短尺の暇つぶしのための隙間コンテンツとは異なり、より能動的に目的意識を持って楽しみに来ているユーザーが多いということだ。これは、ユーザーにとってライブ配信を視聴する動機が「参加」にあるからだ。ライブ配信動画は双方向性に特徴があり、その配信者を中心にしたコミュニティが形成される。「動画を視聴する=そのコミュニティへ参加する」という意識が強いということであり、「コンテンツというよりコミュニティ」であることの表れだという。

また、ライブ配信においては視聴者がチャンネルの成長に貢献したいという意識が見られるそうで、ロイヤリティの高い視聴者が多くいる傾向があるという。

加えて、この資料ではライブ配信においては「ザッピング」が起きにくいと指摘している。ショート動画の代名詞であるTikTokで次々とスワイプされていき、ザッピングを前提にしている設計なのとは対照的だ。だが、新規ユーザーがライブ配信を視聴するきっかけには、短尺の切り抜き動画が多く、その意味でライブ配信と短尺の動画は補完関係にあるとも言える。

企業は推しの配信者を支援する仲間?

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ライブ配信動画の特徴として、同資料は「広告が嫌われにくい」ことを挙げている。


《杉本穂高》

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杉本穂高

映画ライター 杉本穂高

映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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