米映画製作・映画配給スタジオのライオンズゲートが、フランシス・フォード・コッポラ監督による最新映画『メガロポリス』の初予告編に使用された著名映画評論家の批評がAIで生成された疑いがあるとし、予告編の制作に関わったコンサルタントを解雇したことが明らかとなった。
問題の予告編は、「真の天才は、しばしば誤解される」とのナレーションでスタートし、過去にコッポラが監督した映画『地獄の黙示録』や『ゴッドファーザー』の公開当時のレビューが表示される構成となっている。例えば、『ゴッドファーザー』については映画評論家のポーリン・ケイル氏による、「その芸術性により価値が下がった」との批評がフィーチャーされている。
ところが、ケイル氏は映画の公開当時に『ゴッドファーザー』について好意的なレビューを残しており、予告編で引用された批評とは異なるとのこと。Varietyが、AI(人工知能)サービスのChatGPTに、コッポラの作品について著名評論家が残した否定的な批評を提供するよう伝えたところ、その回答は予告編で使われた引用と驚くほど酷似していたそうだ。その結果を受け、一連の否定的なレビューがAIで生成された可能性が指摘されている。第77回カンヌ国際映画祭でプレミア上映された『メガロポリス』は反響が分かれたため、この予告編は、現代では傑作と見なされているコッポラ監督の過去作品も批判されたことがあり、「監督が時代を先取りしていた」との意図を伝えようとしていたとされている。
予告編制作に携わったコンサルタントが解雇
しかし、評論家のレビューが実際の内容と異なっていたため問題となり、ライオンズゲートは予告編の制作を担当したマーケティング・コンサルタントのエディ・イーガン氏を解雇。
IndieWireによると、同スタジオは、8月21日(現地時間)に問題の予告編を削除した。情報筋は、ライオンズゲートやイーガン氏が批評を捏造したのではなく、コンサルタントが提供した情報を適切に精査・事実確認する際にミスがあったと語っている。ライオンズゲートは予告編の削除を決定した際、「批評家の方々とフランシス・フォード・コッポラ監督、(制作会社の)American Zoetropeに対し、審査過程で多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪を発表した。
イーガン氏は、ユニバーサル・ピクチャーズで19年間にわたりマーケティング幹部として勤務し、イルミネーションやSTX Filmsにも在籍した経験を持つ。最近は独立コンサルタントとして活動し、これまでに『イントゥ・ザ・ウッズ』や『ブリッジ・オブ・スパイ』、『スウィート17モンスター』などの映画キャンペーンに参加した。