U-NEXT HOLDINGSが好調をキープしている。
2024年8月期第3四半期(2023年9月1日~2024年5月31日)の売上高は前年同期間比16.5%増の2,355億円、営業利益は同51.2%増の235億円だった。売上高、営業利益ともに第3四半期累計で過去最高を更新している。
同社は2024年4月9日に通期業績予想の上方修正を発表しているが、売上高の進捗率は75%、営業利益は83%と堅調に通過をしている。
主力サービスの一つであるU-NEXTは2024年6月21日にVisa/Masterのクレジットカードの支払いを一時停止している。この影響が懸念されているが、僅かなもので済みそうだ。
まさかの海外クレジットカードの利用停止
2024年8月期通期の売上高は前期比14.4%増の3,160億円、営業利益は同31.9%増の285億円を予想している。売上高は従来予想の5.3%、営業利益は18.8%の増加だ。コンテンツ配信事業の課金ユーザーが堅調に推移していることや新紙幣の導入で精算機などの入れ替え需要を獲得していることが背景にある。
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※決算短信より筆者作成
U-NEXT HOLDINGSは、2024年4月1日にUSEN-NEXT HOLDINGSから社名変更した。USENは会社の成長をけん引し、現在も収益基盤の一つであることは間違いない。しかし、コロナ禍を経てコンテンツ配信事業と店舗サービス事業の売上高が逆転。現在、会社の成長を後押ししているのはコンテンツ配信事業だ。
コンテンツ配信事業は、2024年8月期の売上高を1,082億円と予想している。第3四半期累計の売上高は801億円。進捗率は74%だ。計画値に到達するかどうかギリギリのところでクレジットカード問題が起こった。成人向け動画を扱っているU-NEXTは、Visa/Masterカードを使っているユーザーに対して成人向けコンテンツの配信を停止。国内唯一の国際カードブランドであるJCBのみ引き続き利用できる。
U-NEXT HOLDINGSは、Visa/Masterでコンテンツを視聴していたユーザーの割合が数%だったと説明している。6月21日に一連の問題が発生してから6月30日までに決済方法の変更を行ったのはおよそ4割だが、定額サービスを解約したのは、対象ユーザーのわずか2%だった。
2024年5月末時点でU-NEXTのユーザーは383万人。過去1年を振り返ると、ユーザー数は3ヶ月平均6.1%増加している。クレジットカードのユーザーへの影響が8%、4割が別の支払い方法に移行したと仮定して独自に試算すると、2024年8月末のユーザー数は推計388万人。四半期の増加率は1.3%だ。この試算値で通期の売上高を算出すると、予想の1,082億円と近い数字が弾き出される。
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※決算説明資料より
将来的な悪材料を早い段階で摘み取ったと見るべきか?
U-NEXTはVisa/Masterの利用停止について「諸般の事情」と説明している。直接関係があるのかは不明確だが、VisaやMastercardは成人向けコンテンツでの利用停止を繰り返している。DMM、FANZA、同人誌や同人ゲームのダウンロード販売サイトDLsiteでも一部クレジットカードの利用停止が行われた。背景には米国での大手アダルトサイトに対する訴訟があるだろう。