【Next-Gen】若手業界人とおはなし#3:早稲田大学映画研究会 渡邉花奈さん

🗣️Branc編集長のmarindaが、早稲田大学映画研究会で幹事長を務め、韓国仁荷(インハ)大学の映画サークルとともに初の日韓共同制作を実現した渡邉花奈さんとおはなし。

映像コンテンツ 制作
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Branc(ブラン)編集長のmarindaが若手業界人とラフにおはなしする「【Next-Gen】若手業界人とおはなし」の第3弾。

本企画ではBranc編集長のmarinda(現在26歳)が同世代の若手業界人とラフに近い目線でお話していく。今年9月で立ち上げ1年となったBrancの日々の成長や悩みとともに、新しいことにチャレンジしていく次世代【Next Generation】の若手の映像業界人と意見を交換する。


第3弾は早稲田大学映画研究会で幹事長を務める渡邉花奈さんとおはなし。創立は1918年と100年以上の歴史を持つ早稲田大学映画研究会だが、初の取り組みとして、韓国の仁荷(インハ)大学の映画サークル「Lighthouse」とともに「日韓合同映像制作プロジェクト」に挑戦し、日韓共同で2つの短編映画を制作した。今回は両作品のプロデューサーを務めた渡邉さんに、研究会の活動やプロジェクトの裏側、そしてこれからの映像業界に思うことなど多岐に渡っておはなしを聞いた。


エンタメ×テクノロジーに強い関心をもった

――まずは、早稲田大学映画研究会の活動について教えてください。

映画を“作る”ところに重きを置いているサークルで、現在の部員数は約180人です。昔はもっと規模が小さかったのですが、コロナで他のサークルが活動しなくなったことをきっかけに入会希望数が約2倍に増えました。1918年に創立し、早稲田の映画サークル8つの中でも歴史が長い、大学公認のサークルです。

――8つもあるんですね。そんな中で、渡邉さんがこの映画研究会を選ばれた理由は何だったのでしょうか?

早稲田の映画のサークルの中でも、一番オフィシャル感があるというか(笑)。映画を“作りたい”と思ったときに一番大きいことにチャレンジできるサークルだと思ったのが選んだ理由の1つです。

――普段はどのような活動をされていますか?

普段は監督をやりたい人が脚本を書いて、映画研究会の中で人を集めて撮影するということを各々自由にやっています。それが活動のメインで、制作をサポートする目的で今年度からバックオフィス業務も縦割りにしました。総務、人事、広報、機材、企画管理という5つの部門を作って、映画制作とバックオフィス業務を2軸でやっています。実は、組織全体で映画制作に取り組んだのは今回の日韓企画が初めてです。

――渡邉さんご自身の専攻は理系の学部だとお伺いしていて、映画制作とはまた違った分野だと思いました。映画を作ってみたいと思った理由は何ですか?

私は、小さい時から伝記を読むこととエンタメが大好きだったんです。伝記については、特にスティーブ・ジョブズのようなテクノロジーで新しい道を切り拓いた人の話に強く惹かれました。高校入学後は直観的に映画研究部に入って映画を撮り始めたのですが、エンタメとテクノロジーの交差点になる場所が私にとって関心が強い部分だと感じて、大学では基幹理工学部の中にある“表現工学科”に進学しました。

――テクノロジーでいうと、今だとVTuberとかアニメーションもあるじゃないですか。表現手法として実写を選んだ理由はありますか?

まず技術がなかったっていうのはあるんですけど(笑)今考えると、カメラが好きだったのかな……?と。普段自分が生活している空間をカメラを通して覗き見た時に、ちょっと違う感覚やゾクゾクするような画が撮れる瞬間があって、偶然の連続の中でフィクションを作っていくっていう過程が結構面白かったんです。それがハマり込んだ理由かもしれません。

――高校の時からその魅力を感じていて、大学でもやりたい!というふうに……?

そうですね。高校の時は監督として色々と作品を作っていたんですが、自分の中ではうまくいかなかった経験の方が心に残っています。高校3年生の時にコロナ禍に突入して目指していた大会が無くなるなど、不完全燃焼の状態で終わってしまったんですが、負けず嫌いなので「このまま終われないな」と思って、大学でも似たようなことをやろうと思いました。

「日韓合同映像制作プロジェクト」のきっかけはクレヨンしんちゃん?!

――今回の「日韓合同映像制作プロジェクト」についても伺いたいです。このプロジェクトは、インハ大学の映画サークル「Lighthouse」からお声がかかったことがきっかけだったそうですが、どのように企画がスタートしたのでしょうか?

インハ大学と早稲田大学が姉妹校提携していることがきっかけだったようです。もう1つは、「Lighthouse」のリーダーであるユビンが『クレヨンしんちゃん』が大好きらしくて、野原ひろしが(韓国で)早稲田大学出身(といわれている)なのも気に入ったと聞きました(笑)

――そんなきっかけで!(笑)いざ「一緒に作品を撮ろう」となると決めなくてはいけないことがたくさんあると思うのですが、何から決まっていったのでしょうか?

最初に彼らからもらった資料には全然詳細は書いていなかったんです。「みんなで映画を撮りつつ遊ぼう」みたいなことだけでした。だから、何を撮るかをミーティングの時に考えて「長編は無理だから短編じゃない?」「バランス的に韓国1、日本1でいいんじゃない」と、なっていきました。Lighthouse側からの声がけだったので、日本がメインのロケ地になるような作品を2つ作ろうと決まりました。

日韓合同プロジェクト

――渡邉さんは今回の日韓企画で2作品ともにプロデューサーを担当されていますね。

自分が監督を担当した企画がうまくいかないことが多くて、向いていないのかも……と思った時にプロデューサーという役割に出会ったんです。学生映画の現場だけでなく、色々な社会人の現場にも行く中で、プロデューサーは組織全員の持っている能力を発揮させるための環境を作ったり、個々の力を掛け合わせて制作チーム全体の機能を最大化させたり、プロジェクト全体を統括できるポジションだと気づきました。元々リーダーをやることが多くて、経営に興味もあったので、自分にしっくりきたのがチームプロデューサーだったんです。

日韓の「人種の隔たり」を描く『それでも』

『それでも』予告編|日韓合同映像制作プロジェクト

――作品について詳しくお伺いしたいのですが、まず、『それでも』がどういう作品なのかを教えてください。

『それでも』は、早稲田大学在籍の津川拓真さんが監督を務めています。実は最初は全然違う企画書を津川さんが出してきたんです。監督はMV撮影などの経歴もある方で、当初の企画も面白かったので「この内容でお願いします」ってお話していたんですけど、脚本の話を進めていくうちに津川さんが「こういうことも考えていて」って出してきた別案が、『それでも』に繋がるコンセプトの企画書でした。津川さんの親しい人に在日韓国人の方がいて、その人との交流を通して見えてきたものや感じたことに着想を得たそうです。日本と韓国の人種の隔たりを軸として今回の作品を作っていきました。

――『それでも』で気になったのは、ガラケーを使っていたことでした。時代設定を現代にしなかった理由は何かあったのでしょうか?

前提として、今よりも昔の方が差別意識は根強かったということが大きいですね。今の大学生の世代では、日本では韓国のポップカルチャーが流行っているし、韓国でも日本のアニメやカルチャーが受け入れられているので、あまり隔たりを感じていないのが正直なところです。でも実際に人と関わっていく中で、昔あった差別意識が現代においても溝を作り出してしまっているところもあると思っていて……舞台を10年前に設定することで、若者に事実を示したり、何か考えたりするきっかけにしてほしいなと考えました。


《Branc編集部》

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