【Next-Gen】若手業界人とおはなし#2:NOTHING NEW 林健太郎さん、鈴木健太さん

🗣️Branc編集長のmarindaが、映画会社「NOTHING NEW」初のプロジェクトとしてVHS喫茶「TAN PEN TON」をオープンした林健太郎さん、鈴木健太さんとおはなし。

映像コンテンツ 制作
【Next-Gen】若手業界人とおはなし#2:NOTHING NEW 林健太郎さん、鈴木健太さん
Photo by:Jumpei Yamada 【Next-Gen】若手業界人とおはなし#2:NOTHING NEW 林健太郎さん、鈴木健太さん
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下北沢という土地を選んだ理由

――TAN PEN TONは下北沢の複合施設内にオープンしましたが、想定しているターゲットはどんな方でしょうか?

鈴木お店をオープンする下北沢のBONUS TRACKという場所は、地元の方が多く訪れます。下北沢はこういった新しいコンセプトに対しても寛容で、面白がって見に来てくださる住民の方や、ものづくりをしている方、若者、インバウンドで訪れる海外の方も結構いらっしゃいます。全然映画を観たことがないという人でも「VHSが可愛いな」とか「ポップコーンおいしそう」くらいの気持ちでふらっと来ていただいて、普段は知らない面白い作品に出会ってみてほしいです。新たな世界への入口というか、ドアマン的な存在になるといいなと思っています。街や作家とともにお店も育てていきたいです。

――短編作品に特化した配信サービスなどはありますが、お話を聞いていて、デジタル上での出会いと、フィジカルな場での映像作品との出会い方は全然違うだろうなと思いました。

鈴木デジタルとフィジカルとでは接点の生まれ方が全く異なると思います。たまたま通りすがったお店での出会いは、ネットで自分の知りたい情報を見て、関連動画で観ていくこととは違う体験なんですよね。喫茶店での出会いは映画館やレンタルショップに行くことともまた違うと思うので、 “映像作品との出会い方”として別の分野を、まずは小さく切り開いてみたいと思っています。

手に取ることでの出会いは強烈だという印象がありますね。自分が映画作りにハマったきっかけも、高校の社会科の授業で、「このドキュメンタリーを見てこい」と先生に言われて、ミニシアターに置いてあったワークショップのチラシを手にしたことです。その偶然の出会いから得られるものというか、直感による「せっかく新しい出会いがあったからハマってみるか」っていう勢いみたいなものは“フィジカルな場”ならではだと思っています。

デジタル中心の時代においても、そういった魔力はオフラインの場にはあると思います。このお店をプレオープンしてからも、お店がきっかけで新しく連絡してくれたクリエイターさんと企画を考えてみようかみたいな話が進んだりもしているので、そういった新しい出会いやきっかけが次々と生まれる場所にTAN PEN TONがなれたら最高だなと。

目指すのはいろんなカルチャーが集まる場所

――映画会社として実店舗を持つことをやっているところはなかなか国内でいないと思います。このような新しい取り組みを始めるにあたって参考にした海外の事例や目指しているものはありますか?

鈴木海外のD2Cブランドが実店舗を出す事例などを多く学びました。ネットを超えてリアルに軸足を置くことは僕たちがNOTHING NEWとしてこれから仕掛けていくこととの親和性も高いと思っています。映画・映像業界の課題はひとつの作品を作れば解決するものでもないので、何らかの持続可能な場が必要だなと思っていました。自分たちのお店で未来の映画文化を作っていく人々と直接会話ができることは、レーベルとして大きな強みになっていくと思っています。

映画とは違った文脈ですが、NOTHING NEWとしては、88risingのアジアを背負って世界に戦いに行く姿勢と戦略は、一つの指針となっています。TAN PEN TONでいうと、入居しているエリア「BONUS TRACK」、すぐ近くにある「本屋B&B」をとてもリスペクトしています。今回TAN PEN TONを始めたのは、BONUS TRACKのテナントが空くことをnoteで知り、初めて訪れた際に、素晴らしい場所だと感じたからです。BONUS TRACKでなければ場づくりからスタートしなかったと思います。

本屋B&Bは、本を媒介にして色々な業界の方を呼んでトークイベントをやって、それを配信したり、お客さんのキュレーションで展示をやったり……。ただ本を売る書店なのではなく、出版業界と書店を起点にして様々なカルチャーを接続していくハブになっています。自分たちもショートフィルムやVHSを起点に、映画業界だけではなくて色々なカルチャーの人たちが集まる結節点を目指します

――サイトやお店のビジュアルに統一感があって、「こんな人たちがやっているんだ」と分かるものが、実際にできていると思いました。そういうデザインやブランディングにおいて大事にしていることはありますか?

鈴木ショートフィルムに「未来を照らす光や、強い爆発的なエナジーがある」というイメージをビジュアルに落とし込んでいます。「映画っぽさ」みたいなものに懐古するのではなく、できるだけ既存のイメージから遠く新しいビジュアルで統一したいと考えました。

好き嫌いは分かれるかもしれないですね(笑)。「既存の枠組みからはみ出ながら挑戦していくぞ」という、ブランドとして挑戦していく意思が伝わる人に伝わったらいいなと思っています。

――デザインがとても可愛いな、と思っていました!BONUS TRACKにはほかにも個性的でお洒落なお店が多いですが、その中で際立たせるために何かしていることはありますか?

鈴木店頭を光らせました(笑)。というのは冗談ですが、最初はお店の名前もすごく悩みましたね。大量にお店の名前を書いて、千本ノックみたいな感じで毎回林くんにプレゼンをしました。「ショートフィルムカフェ」みたいなダサい案を無数に考えた末、TAN PEN TONはたまたま出てきたワードだったんです。意味を感じすぎない、気軽な気持ちで入ってもらえるお店にした方がいいかなと思って。お店になるまでは正直こんな不思議な名前でいいのか少し不安だったんですが、今では気に入っています。

ショートフィルムの経済圏を作りながら、海外にも挑戦

――NOTHING NEW全体として、これからどういうプランを組んでいるのかを教えていただきたいです。

鈴木まだ、情報公開ができないのですが、色々作っています!

まずはTAN PEN TONという場から届ける挑戦から始まり、今は自分たちで作品も作っています。同時に進めていくのは大変ですが、作るところから届けるところまで、小さい規模でも一貫して挑戦することで、いつか新しい映画の経済圏を生み出したいです。

―――制作中の作品は配給も含めた製作もやられるんでしょうか?

鈴木そうですね。完全に自分たちの資本でショートフィルムを作り、すでに撮影まで終わっているものもあります。

また、そのショートフィルムを原案にした、長編の企画開発も行っています。海外の映画祭やマーケットへ出向き、国際共同製作を目指して打ち合わせを重ねています。NOTHING NEWのスタンスとして、はじめから製作・配給共に国内に閉じず、海外を含めたチームでグローバル展開を狙っています

鈴木ショートフィルムはパイロットフィルムとしての側面もありますよね。ただ、僕らが目指すのは、ショートフィルムを商業的にちゃんと成功するものにして、それによって監督が次の作品に挑戦できたり、世の中に知る機会を得られたり、NOTHING NEWとして次の作品をもっと潤沢に作れるようになったりと、循環させていくことです。TAN PEN TONのお店に立っているメンバーのなかには映像・映画業界を志している子もいるので、そういう子たちとも作品が作れたら素敵だなと思っています。

また、TAN PEN TONには色々な作品を置いていきたいですし、逆に「自分の作品を置いてください」みたいなことがあればお声がけいただきたいです。それがきっかけで一緒に新しく作品を作ることもあるかもしれないし。

この記事読んでいただいた方の中で、そういったことに興味ある方がいらっしゃいましたら、ぜひ!

鈴木「まだ作ってないけどこんな企画があるんだ」とか「こんな面白い人知ってるんだけど」とか、どんどん僕らを巻き込んでほしいです。

まだまだNOTHING NEWもTAN PEN TONも始まったばかりで、未完成です。刺激的なコラボレーションを探しています。TAN PEN TONでの作戦会議、お待ちしております!

🍿TAN PEN TON(タンペントン)

  • 場所:下北沢 BONUS TRACK内

  • 住所:〒155-0033 東京都世田谷区代田2丁目36−13

  • オープン時間:12時~23時(ラストオーダー:22時00分)

  • 定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日が定休日)

  • SNS:
    X (旧Twitter):@TANPENTON
    Instagram:@tanpenton

《Branc編集部》

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