【インタビュー】縦型ショートアニメ×イラストレーターで新たな才能を発掘 創通・ノーヴォ・季刊エスによる「PROJECT AINS」始動

「PROJECT AINS」は、縦型ショートアニメに特化したプロジェクトで、イラストレーターの世界観をアニメ化し、新たな才能を発掘することを目指す。

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左から塚原怜氏、清水理央氏、岡田登志男氏
左から塚原怜氏、清水理央氏、岡田登志男氏
  • 左から塚原怜氏、清水理央氏、岡田登志男氏
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縦型ショートドラマの市場が盛り上がりをみせているが、現在のところ実写映画が先行している状態だ。そこにアニメで切り込もうと、『機動戦士ガンダム』で知られる株式会社創通、アニメーション制作会社ノーヴォ、「季刊エス」を発行するパイ インターナショナルが、イラストレーターの世界観をアニメにするプロジェクト「PROJECT AINS」を発表した。

本プロジェクトは、イラストレーターたちの持つ世界観をベースにオリジナルアニメーションシリーズを送り出していくもので、一枚のイラストに凝縮されている想像力やビジョンを動かして作り上げることを目指している。

第1弾イラストレーターとして、タキタサキ氏とゑいた氏が参画。それぞれのコンセプトアートに基づくオリジナル作品『つぼみみ』と『Dream Photobooth』を2025年4月以降1話ずつ順次公開していくという。

このプロジェクトの狙いは何か、創通の岡田登志男氏、ノーヴォの塚原怜氏と監督を務める清水理央氏に話を聞いた。


縦型動画から新たな才能やオリジナルIPが生まれる時代が来る

――本プロジェクトの成り立ちからお聞かせください。

塚原:個人クリエイターを応援していきたいと考えていた弊社は、近年イラストレーターにも注目していて、この企画のプロトタイプとして「動くイラスト」というものをLive 2Dというツールを使ってやってみたところ、すごく評判良かったんです。それで、そのコンセプトを発展させて、イラストレーターが持つ世界観やエッセンスをアニメとして昇華させられると面白いんじゃないかと考え、イラスト雑誌の季刊エスさんと一緒に始めたこの企画に、創通さんも参加していただき、正式にローンチとなりました。

岡田:創通はテレビアニメを中心にコンテンツ開発を手掛けてきましたが、オリジナル作品にも力を入れていきたいと考えています。この企画は、創通がこれまで手掛けてきたテレビアニメや映画とは少し異なる領域であることに可能性を感じています。

――縦型のショート動画というのは、当初からのコンセプトだったのですか。

塚原:基本的に縦型でやろうと最初から話していました。やはり新たな媒体が出てきた時、そこから新たな才能が生まれるものだと我々は思っています。縦型動画の市場は明らかに世界中で伸びていますし、ここからIPも生まれてくるだろうと思うんです。我々としては縦型ショート動画にマッチする作品性を出していきたくて、清水監督には昨年からそうした実験をしてもらっています。

――清水監督がこの企画で選ばれた理由はどういったものなんですか。

塚原:これには明確な理由があって、清水監督は撮影出身なんです。今回はイラストレーターと組んでやるので、その方の絵柄を尊重することになります。なので、映像としては別のところに力点を置こうと考えました。アニメの撮影は最後に映像の質をコントロールするパートで、清水監督は全体のルックを自分で判断できる人なんです。

清水:テクスチャ―という言い方の方がわかりやすいかもしれないですね。実線の良さだけでなく塗り重ねていくような表現を、撮影処理で表現できるのが自分の強みだと思います。

塚原:アニメ作業の工程の中で、撮影が一番イラストに近い部分があると思います。絵には「線の文化」と「塗りの文化」があって、イラストレーターは塗りの文化の人が多くて、アニメーターは線なんですよね。アニメの撮影作業はどちらかというと塗りの文化寄りだと思うんです。

@dream.photobooth 『Dream Photobooth』第1話公開開始! 授業前のウノとクリスが廊下を歩いていると...... 原案:ゑいた(https://x.com/eita_789) 監督:清水理央(https://x.com/msosmz)ウノ:大桃陽介 クリス:堀江瞬(https://x.com/holy_yell0525)#DPB #PROJECTAINS ♬ オリジナル楽曲 - Dream Photobooth

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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