SAG-AFTRAとハリウッド・スタジオ、ヒット・ストリーミング番組の出演料増額などをめぐり依然対立

SAG-AFTRAの幹部は、組合員にAMPTPとの交渉が「非常に生産的であった」とアピールしている。しかしながら、メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンス、ラミ・マレックらを含む400人以上の俳優グループは、より強硬な姿勢を取るよう幹部らに求めているようだ。

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多くのハリウッド俳優が所属する映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)の幹部らは、スタジオやストリーマーとの交渉が「非常に生産的であった」と組合員にアピールしている。

The Hollywood Reportersによると、現地時間土曜日に16万人の組合員に送られたビデオメッセージの中で、フラン・ドレシャー組合長と全国事務局長兼チーフ・ネゴシエーターのダンカン・クラブツリー・アイルランド氏は、交渉では“最も重要な問題全てに焦点が当てられた”と述べ、ドレシャー氏は「私たちは強く立ち向かい、画期的な取引を達成させるつもりだ」と話しているとのことだ。SAG-AFTRAの現行の契約は6月30日までとなっている。

SAG-AFTRAは6月7日から、スタジオとストリーミング会社を代表する映画製作者協会(AMPTP)と交渉を行っている。全米脚本家組合(WGA)、全米映画監督組合(DGA)に続き今年3番目の交渉組合であり、WGAは5月2日からストライキ中。一方で、DGAは新しい3年間の労働協約について暫定合意に達している。


クラブツリー・アイルランド氏は「残された時間は非常に限られている」と認めた上で、「我々は皆、この協議を前進させるために長く懸命に働いてきた」「スタジオ、ネットワーク、ストリーマーを巻き込み、この業界への貢献を尊重する公正な取引を行うことができると考えている」と述べた。

このビデオは、労使交渉が行われているAMPTP本部の会議室から撮影されたもので、SAG-AFTRAがストライキに向かっているのでは?という懸念を和らげようとしているように見えた。SAG-AFTRA理事会は、合意に達しない場合、7月1日からストライキを招集する権限を持っている。そうなれば、事実上WGAストライキによってまだ停止していないすべての映画・テレビ制作が直ちに停止することになる


また、ストライキが起きた場合、米国だけではなく他の国にも影響を与えることは確かだ。イギリスの俳優、歌手、ダンサー、デザイナー、演出家、舞台監督、声優など47,000人が所属する組合“Equity”は、SAG-AFTRAの契約が適用されるすべての仕事を一時停止するよう組合員に勧告する可能性が極めて高い。今回の交渉のような議論はイギリスでも行われているため、今回の一連の騒動をイギリスの組合を含め世界中が注視している。

さらにVarietyが報じたところによると、メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンス、ラミ・マレックらを含む400人以上の俳優グループがSAG-AFTRAの幹部たちに対し、より強硬な姿勢を取るよう求めているとのことだ。彼らが提出した書簡では「私たちが必要とする全ての変革と保護を求め、その実現によって新たな歴史を築いてください。もし全てを達成することができない場合でも、会員権を利用して、WGAのストライキに立ってください。組合とその未来のために、今が重要な時です」と声をあげている。
《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。