ひろしまアニメーションシーズン2026にて、「EU-JAPAN アニメーション・ビジネス・ワークショップ報告会」が開催された。本報告会は、2025年の大阪・関西万博において欧州連合(EU)の公式イニシアチブとして実施された「EU-JAPAN Animation Business Workshop」での議論をさらに発展させようと企画されたものだ。
2025年版では、日本と欧州のアニメーション業界関係者が「共同製作」「IP」「配給」の3部門に分かれ、両地域の制度や商習慣の差異を共有した。今回の広島でのワークショップでは、その議論をさらに進めるかたちで、日本と欧州、とりわけ中東欧のプロデューサーとの協業可能性が議論された。
登壇したのは、クロアチアのAdriatic Animationを共同設立したドラシュコ・イヴェジッチ氏、チェコ・プラハの13-kaのカロリナ・ダヴィドヴァ氏、スロベニア/イタリアを拠点とするStaragaraのミハ・チェルネツ氏、そして日本から松本紀子氏、竹内文恵氏、伊部智信氏、安川正吾氏、蔡循氏らが出席。司会はひろしまアニメーションシーズンのプロデューサーである土居伸彰氏が務めた。

焦点となったのは、日本と欧州では、マーケットの性格や資金調達の違いだけでなく、プロデューサーの役割、成功の定義そのものが異なるという現実だ。その差異を前提にした上で、どのような制度設計、ファイナンス、信頼関係があれば、両地域の協業が成立しうるのか。報告会は、その問いを具体的に掘り下げるものとなった。
「売れる」ことを前提にする日本、「支援される」こともビジネスに含む欧州
広島におけるワークショップはまず初日に、クローズドな場で参加者が議論、翌日に報告会として公開するという体裁で開催された。この初日の議論で確認されたことを土居氏は、日本と欧州の資金調達構造の違いとして整理した。
欧州では、公的支援がファンディングの基盤となっている。地方自治体、国、EUレベルの支援、さらにはタックスクレジットやキャッシュリベートなど、複数の制度が重なり合っている。これに対して日本では、民間企業による出資、とりわけ製作委員会方式が中心だ。
この差異は、単純な金の出どころの違いではなく、作品開発の時間軸、プロデューサーのミッション、成功の測り方までをも規定していることが浮き彫りとなった。
欧州では、国境をまたいだ共同製作を前提に、長い時間をかけて開発を進めることが少なくない。助成金を申請するには、その国・地域のクリエイターやスタッフの雇用、支出要件、権利関係などを丁寧に設計する必要がある。
一方日本では、すでに市場性が見込めるIPをもとに、なるべく早くプロダクションへ入ることが重視されやすい。民間資本である以上、回収可能性は避けて通れず、日本のプロデューサーにとって「売れるかどうか」がプロジェクトの成否となる。

この点について、ドラシュコ・イヴェジッチ氏の言葉が印象的だった。彼は、何が売れるかを事前に予測することは「水晶玉で占うようなものではないか」と語った。もちろん欧州でも、観客に届けるための戦略は必要だ。しかし、公的支援を含む欧州のファンディング環境では、マーケットでの売上だけがプロジェクトの成否を決めるわけではないことが示唆された。
実際、欧州には映画祭での選出、受賞、配給実績などが次作への助成につながる「ポイント制度」が存在する国もあるという。つまり、マーケットでの収益とは別に、文化的・国際的評価が制度的に次の資金へ変換される回路が存在するのだ。










