新潟県と新潟市は2026年8月28日、「新潟県・新潟市 アニメーション制作業分野における地域産業クラスター計画」について、国による確認が完了したと発表した。同日開かれた国の「地域未来戦略」に関する関係副大臣等会議では、新潟県知事が高市総理をはじめとする政府関係者に同計画を報告した。
同計画は、新潟でアニメーション制作業のさらなる集積と発展を図るものだ。対象エリアは新潟市中央区、柏崎市、十日町市。産業領域は「アニメーション制作業を中核とする映像・音声・文字情報制作業」と位置付けている。
県内の制作会社や教育機関など、すでにある基盤を生かしながら、外部ハブ企業との連携、共同受託体制の構築、技術・ノウハウの地域内展開、工程DX、人材育成を進め、地域全体の制作力を高めていく。将来的には、「新潟アニメ制作受託・人材供給クラスター」の形成を通じて、新潟発のコンテンツIP創出につなげる構想だ。
新潟県・新潟市がアニメ産業に注力する背景
新潟県と新潟市がアニメーション制作業を重点分野に位置付ける背景には、制作会社の集積、人材輩出・育成の実績、国際映画祭を含むイベント基盤がある。
新潟市・新潟県が2026年6月16日付で作成した資料「地域産業クラスター計画(アニメ分野)の方向性について」では、政府が戦略17分野の一つにコンテンツを位置付け、基幹産業として海外展開を進めていることに触れている。政府は海外市場規模を2033年に20兆円へ拡大することを目指しており、アニメ産業への成長期待は高まっているという。
新潟県内には、大手アニメスタジオの地方拠点を含め、8社以上のアニメ制作会社が立地している。地方都市としては全国有数の集積規模だ。日本アニメ・マンガ専門学校、開志専門職大学、新潟大学、長岡造形大学など、アニメ関連人材の育成につながる高等教育機関もある。
イベント面では、2023年から新潟国際アニメーション映画祭が開かれている。長編アニメーションに特化した映画祭で、人材育成プログラムなどを通じ、海外のバイヤーやクリエイターとの接点を生み出しており、地域産業が海外収益ルートを築いていくうえでの基盤にもなり得るとされる。
1983年から続く「ガタケット(新潟コミックマーケット)」は、180回を超える開催実績を持つ。2024年度の来場者数は約1.2万人、参加サークル数は2,000以上で、日本海側最大規模の同人誌即売会とされる。「がたふぇす」など民間主体のイベントも開かれており、新潟市にはアニメ関連イベント開催地としての蓄積がある。

一方で、県内のアニメ関連教育機関の卒業生は、賃金やキャリアパスの弱さなどを背景に、7割超が県外に就職しているという課題も指摘されている。今回の計画には、制作会社の高付加価値化や雇用環境の改善を通じ、若者の県内定着につなげる狙いもある。




