世界最大のVFX業界団体、Visual Effects Society(VES)の日本支部「VES Japan Section」が正式にスタートした。設立を披露するイベント「2026年 第一回 VES Japan Section イベント ~VES Japan Section お披露目会+祝・日本アカデミー賞 VFX賞設立~」が、2026年7月31日(金)に東京工芸大学 中野キャンパスで開かれた。
イベントは二部構成。VES Japan Sectionの設立宣言と、日本アカデミー賞に新設される「VFX賞」を祝う内容だった。会場にはVES会員をはじめVFX業界の関係者が集まり、日本のVFX業界にとって節目となる「VES日本支部の誕生」と「日本アカデミー賞VFX賞の新設」という二つの出来事をともに祝った。
VESは、映画やテレビ、CM、ゲームなどのビジュアルエフェクツに携わるプロフェッショナルが加盟する国際的な業界団体だ。世界の会員数は約5,600名。VFX界を代表する賞「VESアワード」を主催していることでも知られる。
2026年1月、米国のVES本部が日本支部「VES Japan Section」の設立を正式に認可した。12名のBOM(Board of Managers/理事)が選出され、初代セクションChairには白組の鈴木勝氏が就任した。
VES Japan Section設立宣言、世界約5,600名のコミュニティと接続へ

第一部は、VESアワードのショーリール上映で幕を開けた。次いでVES本部会長のキム・デビッドソン氏から届いたビデオレターが上映され、日本支部の誕生を歓迎するメッセージが紹介された。
その後、初代セクションChairの鈴木勝氏が登壇し、VESの活動概要と日本支部の今後について語った。
鈴木氏はまず、VESが世界50カ国以上に広がる国際的な職能団体である点に触れた。このネットワークを通じて日本のVFX関係者が海外のプロフェッショナルと交流し、日本側からも発信していけるのではないか、と期待を寄せた。
VES Japan Sectionは日本国内で法人登録された団体ではなく、あくまでVES本部のセクションという位置づけになる。鈴木氏はその点も説明したうえで、今後はオンライン・オフライン双方の場を使って制度や活動内容を共有していくと述べた。
活動領域として挙がったのは、スクリーニング、メンバーシップ、コミュニケーション、ソーシャルメディア、イベントプランニング、スポンサーシップ、アウトリーチ、エデュケーションなど。VESアワードへの応募サポートや会員向け試写システムの活用、日本語での情報共有なども今後の取り組みとして紹介された。

12名のBOMが紹介、各担当が今後の活動方針を語る
続いて、運営を担う12名のBOMが紹介された。
セクションChairの鈴木勝氏をはじめ、菊地蓮氏、木下瑠美子氏、ノブタコウイチ氏、植木孝行氏、山口聡氏、竹村英樹氏、塙芽衣氏、秋山貴彦氏、松永孝治氏、オダ イッセイ氏、ジェフリー・デリンジャー氏。以上が最初のBOMとして名を連ねる。
登壇したメンバーは、それぞれの立場からVES Japan Sectionへの期待や抱負を語った。
菊地氏は海外と日本の両方で仕事をしてきた経験を踏まえ、日本のVFX業界とグローバルをつなぐ役割に意欲を示した。植木氏は制作現場で働く立場から、現場の声をVESへ届けたいと話した。山口氏は、VFXを産業として発展させていきたいという思いを述べた。
竹村氏が触れたのは若手会員の参加促進。塙氏はSNS運用を通じて、女性や若年層にも情報を届けたいと語った。松永氏は、業界を支えてきた世代が土台を作り、それを次の世代へつないでいく、という展望を示した。
長年VFXスーパーバイザーとして活動してきた秋山氏は、VES Japan Sectionの誕生を歓迎。イベントや懇親会を通じて業界内の横のつながりを増やしていきたいと話した。
鈴木氏は、特殊効果がビジュアルエフェクトへと発展し、いまでは映像表現に広く関わる存在になっていることに触れた。そのタイミングで日本支部が発足し、日本アカデミー賞でもVFX賞が新設される。この巡り合わせについて、関係者とともに喜びを分かち合った。

日本アカデミー賞「VFX賞」新設、長年の働きかけが実現
第二部では、日本アカデミー賞に新設される「VFX賞」を祝うセッションが行われた。
日本アカデミー賞では、2027年3月に開催される第50回から、VFX賞が新たに正賞として設けられる。
この実現に力を尽くした関係者として、塩田周三氏、石橋俊雄氏、秋山貴彦氏、松永孝治氏、ノブタコウイチ氏、鈴木勝氏、オダ イッセイ氏の7名が登壇(もう一人名前を挙げられたジェフリー・デリンジャー氏はこの日欠席)。設立までの経緯や、これまでの働きかけについて語った。
塩田周三氏は、2012年に設立されたVFX-JAPANがVFXに携わる人々の職能団体として活動を続けてきたことに触れ、日本アカデミー賞でのVFX賞設立が長年の目標だったと明かした。『ゴジラ-1.0』の米アカデミー賞視覚効果賞受賞など、日本のVFXへの注目が高まるなかで、今回の実現につながったという。
秋山貴彦氏も、VFX-JAPANを立ち上げた当初から、日本アカデミー賞に正賞としてVFX賞を作ることが目標の一つだったと振り返った。長年にわたって各所への働きかけが続けられてきたことを紹介し、今回の設立を喜んだ。
鈴木勝氏は、現場でVFXに携わるスタッフの姿を間近で見てきた立場から、VFX賞の設立を喜ばしい出来事だと語った。若い世代がこの賞の価値をさらに高めていくことにも期待を寄せた。

『キングダム』小坂一順氏も登壇
第二部後半には、第48回日本アカデミー賞特別賞を受賞した『キングダム 大将軍の帰還』のSpade&Co.のVFXチームを代表し、VFXスーパーバイザーの小坂一順氏が登壇した。
小坂氏は、同作におけるVFX制作について語るとともに、日本アカデミー賞授賞式に出席した際の思い出、そして今回新たにVFX賞が正賞として設立されることへの思いを述べた。
日本アカデミー賞にVFX賞が新設されるタイミングで、特別賞を受賞した作品のVFXスーパーバイザーが登壇したことは、今回の祝賀イベントを印象づける場面の一つとなった。

イベントの最後には、VES Japan Sectionの誕生と日本アカデミー賞VFX賞の設立という二つの出来事を改めて祝福。今後も年に数回のイベントやスクリーニングを企画していくことが案内され、来場者同士の交流へとつながっていった。
公式サイト:Visual Effects Society









