放送・コンテンツ産業の現在地とは?令和8年版情報通信白書に見る市場・政策・AI活用の全体像

2026年7月公表の令和8年版情報通信白書。放送市場は微減が続く一方、コンテンツ市場は約13兆円へと拡大し、両者の「ねじれ」が鮮明になった。ネット配信の成長、海外輸出の躍進、NHK ONE開始などの政策動向、そして生成AI利用率58.8%の実像まで。映像・コンテンツ産業の現在地を4つの切り口で読み解く。

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出典:「令和8年版情報通信白書」(総務省)
出典:「令和8年版情報通信白書」(総務省)
  • 出典:「令和8年版情報通信白書」(総務省)
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2026年7月、総務省が令和8年版情報通信白書を公表した。第Ⅰ部の特集テーマは「AIの進展がもたらす多面的影響」。2025年のAI法制定を背景に、AIの利活用、特に生成AIの利用動向や企業での活用が大きく取り上げられている。だが第Ⅱ部に目を移せば、放送・コンテンツ分野の市場データと政策動向も整理されている。

市場の「現状」から政策の「動き」、そして実務に効く「次の一手」まで、4つの切り口で読み解いていく。


放送は微減、コンテンツ市場は拡大という「ねじれ」

2024年度の放送事業者全体の売上高は3兆6,042億円、前年度比0.6%減だった。2022年度から減少に転じており、微減傾向が続いている。内訳は地上系民間基幹放送が2兆1,977億円(前年度比1.8%増)、衛星系が3,200億円(同3.5%減)、ケーブルテレビが4,740億円(同1.1%減)、NHKの経常事業収入が6,125億円(同6.7%減)。地上系がわずかに伸びた一方、NHKの落ち込みが全体を押し下げた格好だ。

出典:「令和8年版情報通信白書」(総務省)

ところがコンテンツ市場に目を移すと、風景が一変する。2024年のコンテンツ市場規模は12兆9,958億円。ソフト形態別では映像系ソフトが57.9%、約7兆5,186億円と過半を占め、市場全体も増加傾向にある。放送というパイプは細りつつある一方で、映像コンテンツの市場価値は膨らんでいる。この「ねじれ」こそ、いま産業が直面している構図の核心だろう。

出典:「令和8年版情報通信白書」(総務省)

ねじれの正体は流通経路の変化にある。PCやスマートフォンなどインターネット経由の通信系コンテンツ市場は6兆7,526億円に達し、こちらも映像系が56.6%を占める。全ソフト形態で増加が続いており、ネット配信が成長エンジンになっていることは数字の上でも明白だ。

伝送路が放送から通信(ネット)に代わっても映像コンテンツの価値は高くあり続けている。このねじれの結果は、コンテンツをどの器で届け、どう収益化するかが課題になっていることを示唆している。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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