アニメと実写の境界が溶ける時代に「AIならではの表現」をどう評価したのか。AI映画祭の審査員・櫻井大樹×主催者・和田亮一が語る

3月12日から13日にかけて京都で開催されたAI映画祭「WORLD AI FILM FESTIVAL 2026 in Kyoto (WAIFF KYOTO)」の、実行委員会代表の和田亮一氏と審査員を務めた櫻井大樹氏にインタビュー

テクノロジー AI
アニメと実写の境界が溶ける時代に「AIならではの表現」をどう評価したのか。AI映画祭の審査員・櫻井大樹×主催者・和田亮一が語る
アニメと実写の境界が溶ける時代に「AIならではの表現」をどう評価したのか。AI映画祭の審査員・櫻井大樹×主催者・和田亮一が語る
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  • 和田亮一氏
  • 櫻井大樹氏
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生成AI技術が世の中に急速に普及する中、期待と懸念が入り混じるこの技術と、映像産業はどう向き合うべきか。3月12日から13日にかけて京都で開催されたAI映画祭「WORLD AI FILM FESTIVAL 2026 in Kyoto (WAIFF KYOTO)」は、賞を与えるだけではなく“是非を問う”議論の場となることを掲げている。また、WAIFF KYOTOでの受賞作品は、4月21日~22日にカンヌで開催される「WAIFF Cannes 2026」へ招待される。


実際の審査の裏側やAIならではの表現、そして本映画祭が果たすべき役割について、実行委員会代表の和田亮一氏と、審査員を務めたアニメ制作会社の株式会社サラマンダー代表の櫻井大樹氏に話を伺った。


全く異なるものを比べる難しさ

―― 応募総数は予測と比べてどの程度ありましたか。

和田:当初予想していたよりもはるかにたくさんの応募がきました。

―― 日本版WAIFFでは、アニメのセクションと、実写のようなリアルな質感のタイプの作品と分けて審査するという話がありましたが、どちらが多かったですか。

和田:一概にどちらが多かったと言うのが難しいです。AIだから、様々なルックに挑んだ作品が多くて、だからこそ、審査も難しい。

櫻井:洋画みたいなのがあったりとか、アニメだと、いわゆる日本アニメっぽいのもあれば、CGアニメーションっぽいもの、水墨画を動かしたようなものもありました。実際に被写体を撮影するとか、手で描かないといけないという制約がなくなると、表現の幅が広がって、そこが面白くもあり、これらをどう比べればいいかという難しさがありました。

―― 実際、どういう基準で審査をされたのですか。

和田亮一氏

和田:プロセスとしては、一次審査で72作品くらいに絞り込みました。そこから、二次審査で審査員の方々に見てもらって、映画祭でよくある評価項目、例えばストーリー設計、コンセプト、キャラクターや演出に加えて、AI映画祭なのでAIをどう活用したか、あとは海外で通用するポテンシャルがあるかどうかを、それぞれ点数を付けた上で、審査員が議論するという流れでした。

―― 実際に何が大変でしたか。

櫻井:全くジャンルが違うものを比較してる感じがしました。「絵画と彫刻と建築のどれが1番だと思いますか」みたいなことを問われているような。

和田さんもおっしゃったように、AIで作った映像は根本的には実写とアニメに分けられない。実写風に生成するのか、アニメ風に生成するのか、水墨画風に生成するのかという、グラデーションがあるだけです。じゃあ、ジャンルを分けることの意味って何かを考えないといけない。

もっと突き詰めていくと、これはAIだけのせいじゃないことに行き着くんです。例えば『アバター』って実写なのかとか。すでにエンタメの領域は曖昧になっていて、我々はAI映画祭で、実写部門、アニメ部門、これをどう定義していけばいいんだと、話し合う必要がありました。

ですので、どういう基準で審査するか、最初に審査員で色々と議論したんですけど、最終的には、割とプリミティブな「どれだけ心を動かされたかにしましょう」ということに落ち着きました。でも、そうすると主観VS主観の戦いになるんですよ。

それはそれですごく難しかったんですけど、どの部門でも、2~3作品に票が集中しましたね。そういう意味では、1位を決める段階では議論があるけれど、ファイナリストを選ぶ段階では、意外とスムーズでした。

AIならではの表現とは

―― 例えばアニメーションの場合、アニメーションならではの表現を追及したいというクリエイターっていらっしゃると思うんですけど、AIならではの表現を追求した作品みたいものは、あったのでしょうか。AIならではの表現が何かという議論もあると思いますが。

櫻井:僕はあったような気がしました。AIロボットが人間の思いを届けるみたいな作品とか。そういう物語を見ると、心打たれるものがあるなと思いました。

アニメ黎明期の先人たちは、今まさしくおっしゃられたような、アニメでしかできないことは何かとか、自覚的に取り組んでいたと思うんです。でも、今はそうでもないというか、今のアニメクリエイターは、子供の頃からアニメが好きで、アニメを作りたいという気持ちで入ってくるから、アニメでなければならない理由を、昔ほど問うてない気がするんですよ。

一方、AIは今が黎明期なんで、なんでこれをAIでやるのかと考えているクリエイターが多いような印象を受けましたね。

櫻井大樹氏

和田:僕はAIで作品を作っている立場なので、「このカットよく出したな」とか、「この表現は絶対AIでは苦労するよな」みたいなところを評価してました。

―― アニメでも、何気ない日常芝居が難しいとプロの目線で評価することがありますが、それに相当するものがAIにもあるということですか。

櫻井:作り手だから、大変さや技術の高さがわかるようなポイントですよね。どうやってプロンプト組んだらこんな映像が出せるのかみたいな、何度も何度もやり直した努力の形跡を見ると、やっぱりそこにはリスペクトみたいなものは感じるわけですね。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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