【Inter BEEレポ】放送の“非放送化”の時代、衛星・CATV業界はどう生き残るのか

Inter BEE 2025の企画セッション「放送の“非放送化”~ IP放送とメディアビジネス構造変革」では有料多チャンネル放送の生存戦略について徹底的な議論が交わされた。

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  • 高澤宏昌氏
  • 齊藤敏一氏
  • 澤崎栄治氏
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TVerの躍進やコネクテッドTV(CTV)の急速な普及により、放送コンテンツが電波以外の手段、すなわちIP(インターネットプロトコル)を通じて視聴者に届く「放送の非放送化」が加速している。

Inter BEE 2025の企画セッション「放送の“非放送化”~ IP放送とメディアビジネス構造変革」では、TBSテレビの高澤宏昌氏をモデレーターに、衛星放送協会の齊藤敏一氏、コミュニティネットワークセンター(CNCI)/日本ケーブルラボの澤崎栄治氏が登壇し、リニア放送(編成型放送)のIP化における技術的・法的な課題と、有料多チャンネル放送の生存戦略について徹底的な議論が交わされた。


「vMVPD」とは

セッションの冒頭、モデレーターの高澤氏から、米国ニールセンのデータが示され、すでに米国ではストリーミング視聴が放送(ケーブル含む)を上回り、ほぼ半数を占めるに至った現状が提示された。

SVODやAVODが市場に定着する中、高澤氏が特に注目すべき概念として挙げたのが「vMVPD(Virtual Multichannel Video Programming Distributor)」だ。これはYouTube TVのように、インターネット経由で多チャンネル放送のリニア配信を行う有料課金型サービスを指す。2010年ごろから米国では徐々に普及しており、既存放送局の編成とも連動するものだという。日本ではまだ馴染みの薄い言葉だが、有料多チャンネル放送がIP化し、成長していくためには不可欠な概念になると高澤氏は強調する。

衛星放送やケーブルテレビ(CATV)は、加入者減少という構造的な課題に直面している。高澤氏は、場所や専用機器(STB)に縛られる従来の放送モデルから脱却するために、IPユニキャスト技術の活用が鍵になると問題提起した。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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