放送業界のハラスメント実態調査、東大とチキラボが共同で実施

放送業界のハラスメント実態調査を東大とチキラボが開始し、業界課題の可視化と改善推進を目指す。

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放送業界のハラスメント実態調査、東大とチキラボが共同で実施
放送業界のハラスメント実態調査、東大とチキラボが共同で実施

東京大学大学院情報学環の田中東子研究室と一般社団法人社会調査支援機構チキラボは、放送業界の労働環境におけるハラスメントの実態を明らかにするためのオンライン調査を実施している。この調査は、特定の個人や事例の告発を目的とするものではなく、業界全体の傾向や構造的な課題を浮き彫りにし、労働環境改善に向けた基礎資料とすることを目指すものだ。

職種や雇用形態を問わず、放送局の全経験者が対象

本調査は、対象者を極めて広く設定している。テレビ、ラジオ、BS、CSといった放送波の種類や、放送局の規模、地域を問わず、過去に一度でも「放送局という職場」に関わった経験のある人すべてが対象となる。

調査はSNSなどを通じたオンライン形式で実施され、所要時間は約20分から30分。回答者の心理的負担に配慮し、トラウマに関わる可能性のある質問には「答えたくない」という選択肢を設け、調査の途中中断も可能となっている。また、複数の相談窓口も案内されており、回答者の心理的安全性が最大限に確保されている。

収集されたデータは、個人が特定されないよう厳格に匿名化処理が行われる。特に自由記述欄に含まれる可能性のある固有名詞(放送局名、個人名、番組名など)は、一般名詞に置き換えた上で公表される。これは、回答者が安心して率直な経験を記述できるようにするための措置となる。

調査結果は、チキラボのウェブサイトでの公開や記者会見、研究、出版物などを通じて広く社会に発信される。その目的は、客観的なデータに基づいて業界の課題を可視化し、放送業界自身が労働環境の改善やコンプライアンス遵守に取り組むための建設的な議論を喚起することにある。

さらに、本調査では回答完了後であっても、専用フォームから同意を撤回し、自身の回答データを削除できる仕組みを導入している。分析結果の広報においては、非営利株式会社ピロウが協力し、調査で得られた知見を効果的に業界内外へ届けていく計画だ。

調査の締め切りは10月19日。回答は以下のフォームより。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfEKw6l_akarexvZl-jEIX_-zGOZLaoHh2k3gi1GzpEWuJJ0g/viewform

《Branc編集部》

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