芸能界に新ルール。公取が「実演家の取引適正化指針」を公表。契約・移籍・報酬の透明化・妨害禁止などを規定、違反には厳正対処

公取が「実演家の取引適正化指針」を公表。実演家と事務所の契約や移籍の透明化や妨害禁止を規定し、違反には厳正対処を示した。

働き方 業界団体・行政
出典:公正取引委員会
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内閣官房と公正取引委員会は令和7年9月30日、実演家(アーティスト、俳優、タレント等)と芸能事務所、放送事業者、レコード会社との間の取引慣行の適正化を目的とした「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を策定、公表した。本指針は、クリエイターである実演家への適切な収益還元を促し、コンテンツ産業全体の健全な発展を目指すもので、独占禁止法等の観点から問題となり得る具体的な行為を明示している。

この指針は、令和6年6月の「コンテンツ産業活性化戦略」に基づき、公正取引委員会が実施した実態調査の結果を踏まえて作成された。調査では、①芸能事務所と実演家の取引、②放送事業者等と芸能事務所・実演家の取引、③レコード会社と芸能事務所・実演家の取引において、独占禁止法上問題となり得る行為が確認されていた。

指針では、芸能事務所、放送事業者等、レコード会社がそれぞれ採るべき17の行動指針が示され、違反した場合には独占禁止法等に基づき厳正に対処する方針が明記されている。


契約の透明化と移籍の自由を確保ー芸能事務所に求められる具体的行動

本指針は、芸能事務所と実演家間の取引適正化を目指すものであり、特に契約期間の不透明さや移籍・独立の制限といった、長年問題視されてきた慣行に踏み込んでいる。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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