Amazonとディズニー、トランプ政権のDEI方針変更で多様性プログラムを縮小

トランプ政権からメディアに、DEI方針で大きな圧力がかかっている。

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Amazonとディズニー、トランプ政権のDEI方針変更で多様性プログラムを縮小
Photo by Chip Somodevilla/Getty Images Amazonとディズニー、トランプ政権のDEI方針変更で多様性プログラムを縮小

ドナルド・トランプ米大統領が、連邦政府の「DEI:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(多様性、公平性、包摂性)」施策を廃止する大統領令を発令したことを受け、Amazonスタジオ(以下、Amazon)とディズニーが、各社が進めていた多様性プログラムを撤回したことが明らかとなった。

新政権の発足以来、トランプ大統領は、連邦政府とその請負業者、連邦政府が資金提供する組織からDEIプログラムやトランスジェンダーの権利、その他の平等措置を剥奪する数十の大統領令に署名した。The Hollywood Reporterが報じている。

2021年にAmazonは、人種、民族、性別の多様性を高めることを基準に、黒人、ラテン系、先住民、中東系、アジア系のキャラクターを少なくとも1人、セリフのある役に起用することを目指すインクルージョン・プレイブックを導入した。その他の目標には、少なくとも30%の役職を女性や過小評価されている民族、または人種グループが占めることを目指し、昨年、この目標は50%に増やす計画があったほか、演じるキャラクターとアイデンティティが一致する俳優を起用することなどが含まれていたという。

ところがAmazonは、映画やドラマシリーズの多様性を高めることを目的とした部門全体のポリシーを撤回。昨年9月、そのプレイブックはAmazonのWebサイトから削除され、現在は無効となっている。

Amazonの広報担当者はDEIポリシーの削除について、「Amazonは多様性とインクルーシブなストーリーテリングを重視し、視聴者を中心に据えながら進化を続けています。多様な声に力を与えつつ、最高のストーリーを届けることを目指しています」と述べている。

同記事では、「この動きは、政府が多様性の取り組みに反対するキャンペーンを展開するなかで、企業がDEIプログラムを縮小する動きと足並みを揃えている」とも述べられている。

ディズニーもDEIプログラムを撤回

トランプ大統領がDEIイニシアチブを終わらせようと強く圧力をかけている中で、その動きはAmazonだけでなく、ディズニーでも起こっている。

Deadlineによると、新政権が発足して以来、トランプ大統領は、PBS(公共放送サービス)やNPR(米国公共ラジオ放送)といった公共メディアへの資金提供を削減し、大統領に対する発言でCBSやディズニーの子会社であるABCを相手に名誉棄損の訴訟を起こしている。ABCニュースは訴訟で和解し、トランプ大統領財団と博物館に1,500万ドル(現為替で約22億8,650万円)を支払った。

そして、Bloombergによると、ディズニーは管理職の報酬を決める基準から多様性を外すほか、包摂性プログラム「リイマジン・トゥモロー」を取りやめることを今月11日に社内文書で発表した。

また、ディズニーの子会社であるピクサー初の新アニメーションオリジナルシリーズ『ウィン or ルーズ』からトランスジェンダーのストーリーラインが削除された。これらの方針には従業員から不満の声が上がっているという。

ディズニーは、インクルージョンをコアバリューとして維持してはいるが、多様性ではなく帰属意識を強調し、「誰もが活躍できる」企業文化に言及することで公平性を代用している。

DEIプログラムを縮小する動きはグーグルやメタ、マクドナルドなどでも起こっており、業界における公平な機会の減少や、創作の多様性の後退などが懸念されている。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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