米国で、テレビでのYouTube視聴がモバイルやデスクトップを上回ったことが明らかとなった。
YouTubeのCEOを務めるニール・モハン氏は今年で20周年を迎える同サービスに関する年次書簡を公開した。米国におけるテレビでのYouTube視聴がモバイルとデスクトップを上回り、「エンターテインメントにおけるこのプラットフォームの存在感が高まっていることを裏付けている」と同氏は述べている。Varietyが報じた。同記事が報じたニールセンの調査によると、この2年間でYouTubeは、米国のテレビで最も視聴時間が長いサービスとなっている。同調査によると2024年12月、米国のコネクテッドTVにおけるYouTubeの視聴が増加し、ストリーミング・プラットフォームのうちテレビでのYouTube視聴が11.1%で、Netflix(8.5%)やAmazonプライム・ビデオ(4.0%)、Hulu(2.5%)、Disney+(2.1%)を上回ったという。
モハン氏は、YouTubeで番組を制作するクリエイターは、粗い画像のビデオ撮影から転じ、スタジオを設立して人気トーク番組や長編映画を制作するようになったと、その変化に言及している。
その例として、500万ドル(約7億6,000万円)をかけてテキサス州に本社を構え、トリックショットを専門とする5人組のYouTuber「デュード・パーフェクト」、エベレスト登頂準備について、2時間半のドキュメンタリーを制作したフランスのインフルエンサーInoxtagなどを挙げた。
モハン氏によると、2024年にYouTubeで1万ドル(約153万円)以上稼いだチャンネルの50%以上が、広告やYouTube Premium以外のソースから収益を得ているという。
これには、ショッピングの推奨やチャンネル・メンバーシップなどが含まれ、YouTubeは最近、コメントの代わりにファンとの関わりを強化するハブ「Communities」を、数千人以上のクリエイターに開放。YouTubeは、ファンが新進気鋭のクリエイターを応援するための新機能「Hype」を2025年にさらに多くの市場で開始する予定だ。
CEOは、クリエイター主導のスタートアップが何を達成するかは未知だが、その過程のあらゆる段階で彼らをサポートしていくとしている。また、コネクテッドTVにおけるYouTubeの成長は新しい広告主も引き付けており、QRコードや一時停止広告など、大画面で特に効果的なフォーマットを導入していく予定だという。その他にも、クリエイターが試合やイベントのライブ解説や、リアルタイムのリアクションを提供できる「Watch With」という新機能もテストしている。
Deadlineによると、昨年の米国大統領選挙日には、全米で4,500万人以上の視聴者が、YouTubeで政治関連のコンテンツを視聴したという。モハン氏は、「選挙からオリンピック、コーチェラ・フェスティバル、スーパーボウル、クリケット・ワールドカップまで、世界最大の瞬間がYouTubeで繰り広げられます」と意気込みを語った。この流れが続けば、YouTubeは単なる動画サイトを超え、ホーム・エンターテイメントの一大プラットフォームに成長する可能性もありそうだ。