マーベラスは音楽映像事業は堅調。しかし主力のゲーム開発で不調続く【決算から映像業界を読み解く】#61

ゲーム開発やアニメ制作などを行うマーベラスが、主力のゲームで苦戦している。

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【決算から映像業界を読み解く】#61
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ゲーム開発やアニメ制作などを行うマーベラスが、主力のゲームで苦戦している。

ゲーム開発を行うデジタルコンテンツ事業の2025年3月期第1四半期(2024年4月1日~2024年6月30日)の売上高は、前期比22.6%減の31億100万円だった。4,600万円のセグメント損失(前年同期間は1億1,400万円のセグメント利益)を出している。

マーベラスは今年4月19日に『ビックリマン・ワンダーコレクション』をリリースしている。39万ダウンロードを突破したが収益貢献は低く、四半期は減収だった。一方で業績堅調なのが音楽映像事業だ。特に2.5次元の舞台の回復が成長に寄与している。

新作ゲームの不発で3期連続の営業減益見込む

マーベラスは『剣と魔法のログレス』や『ドルフィンウェーブ』、『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』などのゲームの他、アニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『プリキュア』シリーズの製作協力などを行っている。

2024年3月期の売上高は前期比16.4%増の294億9,300万円、営業利益は同2.9%減の24億1,500万円だった。増収減益の主要因がデジタルコンテンツ事業の不調だ。2024年3月期は『LOOP8(ループエイト)』、『ファッションドリーマー』などの新作をリリースするものの、売れ行きが計画を大きく下回る結果となった。

マーベラスはゲームをリリースした後、見込販売収益に応じて売上原価を計上する会計処理を行っていた。そのため、販売が不調であれば原価負担が重くなるのだ。2024年4月以降に方針を変更。開発費は発生時に研究開発費(販売費及び一般管理費)として費用計上する形をとった。

決算短信より筆者作成

2025年3月期は、通期業績予想に幅を持たせている。売上高は前期比1.7%減の290億円~同8.5%増の320億円、営業利益は同37.9%減の15億円~同17.2%減の20億円だ。

2025年3月期第1四半期の売上高は前年同期間比15.6%減の58億600万円、営業利益は同87.7%減の6,500万円。通期業績の下限でも、売上高の進捗率は20.0%、営業利益が18.1%。厳しい戦いを強いられている。

2025年3月期は5作の新作ゲーム作品のリリースを控えている。タイトルが判明しているのが『ビックリマン・ワンダーコレクション』『ボウと月夜の碧い花』『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ~追憶の流氷・涙のニポポ人形~』だ。そのうちの1つである『ビックリマン・ワンダーコレクション』がリリースされ、デジタルコンテンツ事業は第1四半期において減収、赤字転落という結果だった。

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マーベラスは中期計画において、2027年3月期に過去最高収益を更新するという目標を掲げている。『剣と魔法のログレス』の収益貢献が大きかった2016年3月期に売上高が318億2,000万円、営業利益が54億1,800万円となって過去最高を記録した。

この数字は2024年3月期の売上高よりも1割多く、営業利益は2.2倍というもの。売上高の過去最高を更新する難易度は低いだろう。しかし、営業利益を超えるハードルは相当高いように見える。ゲームのヒットを狙って売上高、営業利益ともに引き延ばすという基本路線はこれまで通り踏襲する見込みだ。


《不破聡》

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