米国で最大となる映画館チェーンのAMCシアターズが、2024年第2四半期に公開された映画の興業不振により、前年同期から収益が23.5%も減少したことが明らかとなった。
The Hollywood Reporterによると、CEO(最高経営責任者)のアダム・アーロン氏が率いるAMCシアターズの第2四半期の収益は、前年同期の13億5,000万ドルから23.5%減少して10億3,000万ドル(現為替で約1,480億円)となり、 3ヶ月間の純損失も3,280万ドル(約47億円)に拡大したという。また映画館の観客動員数も、前年同期の約6,600万人から約25%減少し、約5,000万人との結果だった。米国市場では、国際市場の劇場観客動員数と比較して、四半期の観客動員数の減少がわずかに大きかった。前年第2四半期では、アニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』や、マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』などのヒット作が劇場を満員にしていた時期だ。対する2024年同期では、大ヒットが期待されていた『マッドマックス:フュリオサ』や『フォールガイ』(日本公開は8月16日)、西部劇『Horizon: An American Saga – Chapter 1(原題)』などの興行成績が振るわず、映画館が大きな打撃を受けた。
さらに、第2四半期に興行収益で苦戦していたのは、AMCシアターズだけではない。米国で3番目に大きい映画館チェーンCinemarkも、同期の総収益が7億3,420万ドル(約1,050億円)で、前年比よりも22.1%減少したと発表。4番手のMarcus Theatresは劇場入場収益が4,850万ドル(約70億円)で、前年同期の約6,900万ドルから減少したと明かしていた。
その理由についてアーロン氏は、2023年に起きた全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と脚本家組合(WGA)のストライキが影響したと指摘している。
第3四半期の巻き返しに期待
Varietyによると、AMCシアターズをはじめとする映画館チェーンは第2四半期に苦戦を強いられたが、6月に米国公開された『バッドボーイズ RIDE OR DIE』と、ピクサー映画『インサイド・ヘッド2』のヒットが収益の回復に貢献。特に、『インサイド・ヘッド2』は映画史上で10番目の収益を上げた映画になるほど世界的な大ヒットとなり、今も数字を伸ばし続けている。加えて7月には、マーベル映画『デッドプール&ウルヴァリン』がR指定映画として歴代最高の北米オープニング興収を記録し、『怪盗グルーのミニオン超変身』と『ツイスターズ』などのヒット作も後に続いている。
第2四半期の数字には、7月に大ヒットを飛ばした映画の興行収益は含まれていないため、アーロン氏は興行収入は好転しており、業界は今年後半に大きな収益を上げるだろうと予測。『バービー』と『オッペンハイマー』が、空前の大ヒットを飛ばした2023年第3四半期と同じ成績は収められないかもしれないとしながらも、後半戦での巻き返しに自信を伺わせた。
第4四半期も、2019年に大ヒットした『ジョーカー』の続編映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(日本公開は10月11日)や『グラディエーターII』(日本公開は11月15日)、人気ブロードウェイ・ミュージカルの映画版『ウィキッド ふたりの魔女』(日本公開は2025年春)の公開が控えており、興行収益に期待が持てそうだ。