Branc編集長・marinda(タニモト)が出演し、西川美和監督、岨手由貴子監督、青木基晃氏とお話したaction4cinema(以下a4c)によるポッドキャスト「voice4cinema」の後編が公開。後編では岨手由貴子監督が選ぶBrancの気になった記事や、タニモトからa4cの皆さんへ逆質問が行われた。
岨手由貴子監督が気になったBrancの記事は?
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前編では西川美和監督が台湾の独立行政法人「TAICCA(タイカ)」に関する記事を話題に挙げていたが、岨手監督も同じく目に留まったそう。また、東京国際映画祭で行われたトークショー「映画ジャーナリズムにおける女性のまなざし」のレポート記事を例に挙げ、「“女性監督”を集めた会などは、話題性もあるため催されることはあるが、表に出ない人の話をもっと聞くべきなのでは?」という考えがあると明かした。そのため、俳優・監督だけでない映画人の声を定期的にメディアが取り上げてくれたら……と思っているとのことだ。
a4cのこれからの活動や「ハラスメント防止ハンドブック」配布の背景
さらに、トークはタニモトからの逆質問に。「a4cでの活動は実写のイメージが強いが、アニメ業界との連携も強化していくのか?」という質問に対して、「アニメ業界の中でも同じような悩みがあるので、良い情報を摂取して連携していければ」と青木氏が回答。実写映画業界からみると、アニメ業界の方が少し進んでいるという現状もあり、a4cのメンバーである『この世界の片隅に』片渕須直監督が参加してくれたことで、恩恵を受けているという。
また、a4cが配布を開始した「制作現場でのハラスメント防止ハンドブック」ができるまでの歩みを質問。2022年の3月から映画業界のハラスメント告発が多く、当事者意識がない団体が多かったため、a4cがハラスメントに対する声明を出したという。社会全体ではハラスメント研修が取り入れられる企業も増え、防止に向けた取り組み自体は加速しているが、映画業界は働き方や仕事の進め方が特殊な形態が多く、業界に特化したハラスメント防止策を明確にする必要があったという。
a4cの事務局長・四宮隆史弁護士が作成した膨大な資料の中から、「ハラスメント」という言葉になじみがないような人でも読みやすく、分かりやすくする作業に時間を使ったと西川監督はハンドブック制作時を振り返った。すでに業界でハラスメント対策をしている韓国の実例などを取り入れながら、台本印刷の三交社と協力し台本に印刷できるようにするなど、現場でハンドブックを活用しやすくするための取り組みについても話してくれた。
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また、制作現場では予算の小さな作品であればあるほどハラスメントが起きやすくなってしまっている現状があるのだという。ガイドブックは、そんな現状のためにも手軽に活用できるようにオンライン上で公開されているので、現場で読み合わせたり、台本に組み込んだりすることから認識を変えていくことが大切だ。
※「制作現場でのハラスメント防止ハンドブック」は、a4cのホームページからダウンロードをすることができる。本編(後編)では他にも、メディア露出に対する両監督の考え方、そして制作現場とメディアをどう繋げれば映画業界を盛り上げていくことができるか?といった、WEBメディア編集部と映画制作者両立場からの具体的な意見も交わされている。
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