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今年5月にピケ張りを開始した全米脚本家組合(WGA)と、そのピケットラインに7月に加わった映画俳優組合-アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)のストライキにより、ロサンゼルスの映画・テレビ制作が、前年第3四半期との比較で41%も減少したことが明らかとなった。
Varietyによると、ロサンゼルス地域でロケの許可を扱うFilmLAの統計では、2022年第3四半期(7月~9月)における全作品の撮影日数は9,066日となり、今年同期は5,311日で41%の減少を見せたとのこと。FilmLAは、同地域のロケ撮影状況に関する四半期レポートを発行しており、報告書によると、今年第3四半期の脚本付きテレビ番組の制作は、前年同期と比べて99%も減少。両組合のストライキが、どれだけ業界に大きな打撃を与えたかが分かるのではないだろうか。
FilmLAのデータは、許可を必要としないスタジオ敷地内での撮影日数は含まれないが、一般的に、その数字は地元産業における全体像の詳細を表すものと見なされている。一方で映画については、SAG-AFTRAが「暫定合意」によりインディペンデント系作品の製作継続を認めたため減少は55%に留まり、脚本付きテレビ番組ほど影響は受けなかった。
The Hollywood Reporterによると、2023年第3四半期はリアリティ番組の制作が好調で、撮影日数は2,166日に。この期間の全テレビ撮影のおよそ97%がリアリティ番組によるもので、同期に敢行されたロケ撮影のほぼ41%を占めた。この数字は、前年同期と比較すると23%の減少になると推定されているが、5年間の平均と比較すると数字が22%近く高くなっている。ロサンゼルスにおける映画やテレビ番組制作の減少は7四半期連続となり、原因はストライキだけではないようだ。ここ近年、より税額控除制度が大きい他州での撮影を選択するプロダクション会社が増加していることが主な要因となっており、テレビ番組の撮影が最も減少している。
FilmLAが脚本付き番組について分析したところ、依然としてロサンゼルスは脚本コンテンツの撮影地として米国内トップであることに変わりはないが、同地域の総撮影レベルの伸びは2021年から2022年にかけて横這いだったという。一方で、ジョージア州や英国などの他の地域では、かなりの伸びを見せていると報告されている。
なお、WGAは9月27日に映画テレビ製作者同盟(AMPTP)をと暫定合意に達し、5ヵ月にわたるストライキに終止符を打った。対するSAG-AFTRAは、10月第2週に行われた交渉でAMPTPと決裂し、現在もストライキを続行中だ。